研究分担者 |
佐々木 仁 兵庫医科大学, 助手 (40104236)
山下 勝幸 大阪大学, 医学部, 講師 (20183121)
澤井 元 大阪大学, 医学部, 講師 (20202103)
渡部 真三 愛知県コロニー発達障害研究所, 主任研究員 (10093486)
田内 雅規 国立リハビリテーションセンター研究所, 主任研究員 (00075425)
ISHIDA A. カリフォルニア大学デービス校, 動物生理学, 助教授
BRAY G.M. マックギール大学付属モントリオール総合病院, 神経科学部門, 教授
RASMINSKY M. マックギール大学付属モントリオール総合病院, 神経科学部門, 教授
AGUAYO A.J. マックギール大学付属モントリオール総合病院, 神経科学部門, 教授
SAWAI H. LECTURER, OSAKA UNIVERSITRY MEDICAL SCHOOL
YAMASHITA M. LECTURER, OSAKA UNIVERSITRY MEDICAL SCHOOL
SASAKI H. ASSISTANT PROFESSOR, HYOGO MEDICAL COLLEGE
TAUCHI M. CHIEF INVESTIGATOR, NATIONAL INSTITUTE FOR THE DISABLED
A Ishida カルフォルニア大学 デービス校, 動物生理学, 助教授
G M Bray マックギール大学付属 モントリオール総合病院, 神経科学部門, 教授
M Rasminsky マックギール大学付属 モントリオール総合病院, 神経科学部門, 教授
A J Aguayo マックギール大学付属 モントリオール総合病院, 神経科学部門, 教授
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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研究概要 |
1。ネコにおける視神経再生の研究 1)昨年度来日したラスミンスキー教授の協力によって開始したネコ神経再生線維の生理学的研究を続行し、現在260ユニットについてその光受容野特徴が明らかになった。それらを光反応性にもとずいてY、X、そのほかの細胞に分類し、その出現比率を正常動物と比べたところ、網膜神経節細胞のうちとくにY/α細胞が、X/β細胞とW細胞よりも軸索再生しやすいことが確認できた。さらに今年度の新しい発見として、X細胞の場合、オン細胞が記録されるがオフ細胞は記録されないという事実を見つけた。これを形態学的に確かめるため、再生神経節細胞を逆行性に標識し、その樹状突起の内網状層での分枝を調べたところ、やはり、X/β細胞の場合にはa亜層(OFF型細胞に対応する)に分枝するものは見当たらなかった。なぜこのような、Y/α細胞とX/β細胞とでON/OFF細胞の非対称が生ずるのか新しい問題として残された。 2)再生した視神経軸索の有髄/無髄、直径の大きさを電子顕微鏡的に解析するため、バイオサイチンを眼球内に注入し、再生線維を順行性に標識した。電子顕微鏡で観察した3例のネコ再生視神経において合計503本の線維が標識されており、そのうち96本(19.1%)に明瞭なシュワン細胞による髄鞘形成が認められた。残りの80.9%は正常な視神経では見られない無髄線維であった。無髄線維の直径は0.1-1.5μm、平均0.6μmであった。有髄線維の直径は0.5-1.4μm、平均0.9μmで、正常な視神経線維の直径と比較して細くなっていた。従って再生線維の軸索伝導速度はかなり遅いものと推測される。 3)最後にこれまでの軸索再生実験のコントロールとして、視神経軸索切断に対する抵抗性が網膜神経節細胞型(Y、X、その他の細胞)によって異なるかどうかを調べるため、予め蛍光色素で神経節細胞を逆行性に標識しておいて視神経切断後に生存する神経節細胞における各タイプの出現頻度を求めた。軸索切断の2カ月後に生存神経節細胞を蛍光顕微鏡下で観察しながらLucifer Yellow細胞内注入を行ない、α、β細胞およびそのほかの細胞に同定した。その結果、やはりα細胞の出現頻度が正常網膜の割合と比べて高く、β細胞のそれが極端に低いことがわかった。このことから少なくともα(Y)細胞が軸索再生しやすい原因はその軸索切断に対する抵抗性に
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あるものと思もわれる。 2。視覚路再構築による視覚機能回復に関してはハムスターで研究を行なった。今年度は坐骨神経移植によって再構築した視覚伝導路を順行性標識によって形態学的に確認すると共に、その個体での光を手掛かりとした学習成績を検討した。生後8週齢の成熟ハムスターの視神経を切断し、同一個体の坐骨神経を移植吻合した。移植手術後8週の後に移植片の遠位端を同側上丘内に架橋移植し反対側の視神経を切断した。そのさらに8-12週の後、移植動物をシャトル箱にいれ、光刺激を条件刺激として明暗弁別学習を開始した。移植動物4匹中2匹においては学習試行に伴う回避率の増加が認められ、試行10日目では約10%の回避率を示した。これら二匹の動物では眼球内に注入したWGA-HRPの順行性標識が移植片内及び上丘表層に認められた。7匹の正常動物では回避率は10日目で平均50.6%(94-12%)、一方4匹の両側視神経切断動物では平均2.0%(4%-0%)であった。以上の結果から、ある動物では坐骨神経移植によって再形成された視覚伝導路を通って光を手掛かりとした弁別行動が回復することが示された。さらに坐骨神経移植によって視覚路が再構築されたラットの眼に光刺激を与えることによって脳波が脱同期するいわゆる覚醒反応を引き起こすこと成功した。 3。軸索再生を促進させる神経栄養因子の研究としては、視神経を切断した成熟ラットの網膜神経節細胞の網膜内軸索再生への各種神経栄養因子の効果によって検討した。まず予め蛍光色素により神経節細胞を逆行性標識しておき、視神経切断後、2日から30日で摘出眼球より作成した網膜全伸展標本を、通気したAmes培養液の還流により維持しながら蛍光顕微鏡下で観察し、蛍光色素で標識された神経節細胞にニューロバイオチンを細胞内注入し、組織化学反応ののち細胞の樹状突起および網膜内軸索突起を可視化した。視神経切断2-3日後、少数の網膜内軸索が視神経円板内で反転旋回し、起始細胞体の方向へ10-50μm程度再生しているのが観察された。視神経切断2-4週間後の網膜標本からは視神経円板内を旋回後、細胞体方向へ最大で600μmも再生している軸索が観察された。また、このような再生軸索には50-200μmの細い側枝の発芽や分枝も見られた。視神経切断直後にBDNF,NT3,ないしはNT4(5mg,5ml)を硝子体内に注入し、このような網膜内軸索線維の再生能に対する神経栄養因子の効果を調べた。その結果BDNF投与は旋回軸索の出現頻度を有意に増大させ、また軸索一本あたりの側枝発芽や分枝の数を増加させた。NT3とNT4の投与にはこのような切断軸索に対する再生促進効果は認められなかったが、NT4を硝子体内に持続注入した網膜ではBDNF投与に匹敵する効果が認められた。 隠す
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