研究課題/領域番号 |
03044100
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山田 哲治 岡山大学, 農学部, 助教授 (00191320)
|
研究分担者 |
KADO Clarenc カリフォルニア大学, デービス校(米国), 教授
一瀬 勇規 岡山大学, 農学部, 助教授 (50213004)
白石 友紀 岡山大学, 農学部, 助教授 (10033268)
奥 八郎 岡山大学, 農学部, 教授 (20033144)
KADO Clarence I. Department of Plant Pathology, University of California, Professor
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
|
キーワード | 低抗性遺伝子 / 形質転換植物 / トランジェントアッセイ / 情報伝達 / エリシタ- / サプレッサ- / DNAクロ-ニング / 遺伝子発現 |
研究概要 |
植物の病害低抗性の中でもファイトアレキシン合成経路の鍵酵素として特に重要な役割を担うフェニルアラニンアンモニアリア-ゼ(PAL)をコ-ドする遺伝子とカルコン合成酵素(CHS)をコ-ドする遺伝子について構造解析を行うとともに、各々の遺伝子にレポ-タ-遺伝子を融合させたキメラ遺伝子を作成し、植物細胞に導入した後、植物病原菌由来のエリシタ-を処理してレポ-タ-遺伝子発現に対する影響を解析した。更にGUSをレポ-タ-遺伝子としたキメラ遺伝子をタバコあるいはエンドウ細胞に導入したトランスジェニック植物体における遺伝子発現様式を調べた。 1.PAL遺伝子に関する研究 PAL遺伝子のプロモ-タ-配列にレポ-タ-遺伝子として発光遺伝子(Lux)、βーグルクロニダ-ゼ(GUS)遺伝子、クロラムフェニコ-ルアセチルトランスフェラ-ゼ(CAT)遺伝子を融合したキメラ遺伝子の作成を行った。このうちpBI101をベ-スとしたPALーGUSのキメラ遺伝子はタバコ及びエンドウにバイナリ-ベクタ-法を用いて導入し、形質転換されたトランスジェニックタバコ及びトランスジェニックエンドウカルスを得たが、一部のトランスジェニック植物体でエンドウ褐紋病菌由来エリシタ-や病原菌接種によってGUS活性の増高が見られた。現在顕著なGUS活性を示した個体におけるキメラ遺伝子の染色体DNAへの挿入部位を調べている。一方、カリフォルニア大学デ-ヴィス校においてデュポン社製パ-ティクルガンを用い、各種のキメラ遺伝子を導入し、トランジェットなLux、あるいはGUSの発現を組織レベルで観察したところ、コントロ-ル実験での35SCaMVプロモ-タ-を有するキメラ遺伝子では顕著な活性が一部の細胞で見られたが、PALプロモ-タ-を連絡したキメラ遺伝子の導入ではエリシタ-処理によっても顕著な発現が観察されなかった。また、CAT遺伝子をレポ-タ-遺伝子とした系においては、キメラ遺伝子を主にエンドウの培養細胞由来のプロトプラストにエレクトロポレ-ション法を用いて導入し、トランジェントなCATの発現を測定することによってgPALー1遺伝子の転写調節に必要なシスエレメントの検索を行った。その結果、-340から-140までの上流領域にエリシタ-によって転写誘導を受け、エリシタ-による低抗性の誘導を阻害するオルトバナジン酸(原形質膜ATPア-ゼの阻害剤)により抑制されるエンドウgPALー1遺伝子の発現調節領域が存在することが明らかとなった。 2.CHS遺伝子に関する解析 エンドウのCHS遺伝子についてはエリシタ-処理を施したcDNAライブラリ-から、多数のcDNAのクロ-ニングを行い構造の解析によって3種の主要な2種のCHS遺伝子がゲノム上にタンデムに並んで存在していることを明かにし、上述のCAT遺伝子を用いたトランジェントアッセイによってこの2つのCHS遺伝子(PsCHS1,PsCHS2)はエリシタ-の処理を施さなくてもCATの活性を増高させるシスエレメントを各々の上流(PsCHS1:-1493〜+80;PsCHS2:-1889〜+83)にもつことが明らかにされた。 3.植物病原菌が生産するシグナル物質の単離調製法と情報伝達機構の解析手法の研究調査 平成3年12月にカリフォルニア大学カド教授を招へいし、岡山大学において長年進められてきた植物病原菌が生産するシグナル物質に関する研究を中心に調査を行った。カド教授は植物病原糸状菌の生産するエリシタ-・サプレッサ-の単離調製を行った。更にエリシタ-・サプレッサ-による植物細胞の初期情報伝達系に対する影響を解析するために岡山大学で研究されているATPア-ゼを始めとする種々の情報伝達系に関与する酵素活性の測定法や解析法について視察並びに討議を行った。
|