研究課題/領域番号 |
03044113
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩永 貞昭 九州大学, 理学部, 教授 (90029942)
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研究分担者 |
東 昌市 九州大学, 理学部, 日本学術振興会特別研 (10275076)
中川 和憲 九州大学, 医学部, 助手 (50217668)
牟田 達史 九州大学, 理学部, 助手 (60222337)
川畑 俊一郎 九州大学, 理学部, 助手 (90183037)
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
一瀬 白帝 山形大学, 医学部, 教授 (10241689)
藤川 和雄 ワシントン大学, 生化学部, 研究教授
EARL W.Davie ワシントン大学, 生化学部, 教授
DAVIE Earl W Department of Biochemistry, Washington University Professor
西村 仁 北海道大学, 薬学部, 助手 (80241347)
武谷 浩之 三重大学, 医学部, 助手 (60222105)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | VII因子 / 組織因子 / 血液凝固反応 / Glaドメイン / VIIa因子 / IX因子 / VII-TF分子複合体 / Gla-EGF-1 / 外因系血液凝固反応 / Gla-EGF1 / EGF様ドメイン / 血液凝固因子 / 外因系凝固反応 / セレクチン |
研究概要 |
(1)VII因子に含まれる組織因子結合部位の解析 外因系凝固反応の開始反応を司るVIIa因子(VIIa)と組織因子(TF)との分子間相互作用について解析を行い、TFによるVIIaの活性増強効果のメカニズムを検討した。その結果、VIIa上に独立した2つのTF結合部位を見い出した。一つはVIIaのL鎖の一部であるGlaドメインからEGF様ドメインの領域に存在し、両ドメインを含む85残基のペプチド断片がTFに対して強い親和性を示した。この結合部位はGlaドメインとEGF様第一ドメインの間のhinge領域が切断されると消失した。もう一つのTF結合部位は、TFによるVIIaの活性増強効果に関連したもので、その部位は活性型VIIaにのみ特異的に存在し、前駆体VIIには存在しないことが明らかになった。さらに、この部位の発現には、VIIa-H鎖のNH_2末端Ile153のα-アミノ基と分子内部のAsp343との間のsalt bridge形成が必要と推定された。また、VIIa中のIle153-Asp343間のsalt bridgeは不安定であるが、VIIaがTFと複合体を形成するとsalt bridgeが誘導されると考えられた。これらの結果から、TFはVIIa中のIle153-Asp343間のsalt bridge形成を助けることにより、VIIaの前駆体様conformationから活性型conformationへの変換を促進し、その結果としてVIIaのプロテアーゼ活性を増強すると推定した。 (2)組織因子に含まれるVII因子結合部位の解析 外傷などに伴って組織因子が血液中に露呈されると、この因子が血漿中のVIIa因子と分子複合体を形成しつつ、外因系凝固反応を開始する。我々は両因子間の相互作用を分子レベルで明らかにする目的で、VIIa因子上の組織因子結合部位の解析を行ない、2つの組織因子結合部位を見い出した。また、酵母を用いた発現系により、ウシ可溶性リコンビナント組織因子(rsTF,TF1-213)の大量調製に成功した。本年度は、このrsTFを用い、組織因子側のVIIa因子結合部位の解析を行なった。まず、VIIa-rsTF複合体による合成基質(S-2288)水解系に、ペプチドクロロメチルケトン処理によって不活化したVIIa因子、Gla-domainlesVIIa因子(VIIa(GD-))及
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び前駆体型VII因子を加えて拮抗阻害実験を行なった結果、不活化VIIa因子とVIIa(GD-)が強い阻害(IC50=70nM)を示したのに対し、前駆体型VII因子では殆ど阻害が見られなかった(IC50>900nM)。従って、rsTFはVIIa因子上の2つの組織因子結合部位のうち活性型VIIa因子に特異的に発現しているひとつを認識することが示唆された。また、この性質を利用して不溶化rsTFカラムにより、前駆体型VII因子中のきょう雑VIIa因子を特異的に除去することに成功した。一方、rsTFを、穏和な条件下トリプシン処理すると、Arg129-Ala130間のペプチド結合が切断され、切断後も約60%の活性が残存していた。そこで、両断片の分別を試みたが、1-129と130-213の断片は5M尿素存在下、分別されたものの、コファクター活性とVIIa因子結合能は共に消失した。現在、化学修飾法などを用いてVIIa因子結合部位を解析しつつある。 (3)IX因子の活性ペプチド(AP)中に発見したオリゴ糖鎖 我々は、血液凝固因子のFactor IX,Factor VII,Protein Zや血小板に存在する糖タンパク質のトロンボスポンジンのEGF類似ドメインに、新規のO-結合型糖鎖(Xyl-Glc-O-Ser,Xyl-Xyl-Glc-O-Ser)を見出し、すでに報告した。その後、さらにヒトFactor IXの第一EGF類似ドメインのSer-61にFucを介したオリゴ糖が結合していることを見出し、それらの構造と機能について解析してきた。最近、ヒトFactor IXのAP(残基No.146-180に相当)のアミノ酸分析を行なったところ、GlcNH_2に加えてGalNH_2が定量され、O-結合型糖鎖の存在が示唆された。APは、Factor IXを組織因子存在下、VIIa因子で活性化し、逆相HPLCにより単離した。得られたAPをN-グリコシダーゼFで処理し、Asn-結合型糖鎖を除去後、エンドペプチターゼAsp-Nで断片化し、精製したペプチドについて2-アミノピリジンを用いた糖組成分析とシアル酸(SA)の定量を行った。その結果、1molのペプチド当たり、GalNAc,Gal,SA,それぞれ1molを含む2つのペプチド(AP157-165,AP166-176)が同定された。両ペプチドのアミノ酸配列分析を行なったところ、Thr-159とThr-169に相当するPTH-アミノ酸は全く回収されなかった。従って、これら2つのThr残基にGalNAc,Gal,SAから成るトリサッカライドが結合していると推定した。なお、ヒトFactor IXのAPは、逆相HPLCにより少なくとも3種類に分別されるが、その中で、O-結合型糖鎖を含まないAPも存在することが判明した。 隠す
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