研究課題/領域番号 |
03044115
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堀 哲郎 九州大学, 医学部, 教授 (00022814)
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研究分担者 |
有村 章 チェーレン大学, ヘベルトセンター・米日生物医学研究所(アメリカ合衆国), 所長教授
WALTER Riede マックス, プランク生理学臨床研究所・生理学部I(ドイツ国), 教授
ECKHART Simo マックス, プランク生理学臨床研究所・生理学部I(ドイツ国), 教授
清水 宣明 金沢大学, 工学部, 助教授 (50019634)
片渕 俊彦 九州大学, 医学部, 講師 (80177401)
粟生 修司 九州大学, 医学部, 助教授 (40150908)
SIMON Eckhart Max-Planck-Institut
RIEDEL Walter Max-Planck-Institut
高木 厚司 九州大学, 医学部, 助手 (30243934)
LADISLAW Jan チャールス大学, 理学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1993年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1992年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 脳・免疫系連関 / 脾臓交感神経系 / サイトカイン / インターフェロン-α / インターロイキン-1 / 脾臓NK活性 / 脳室周囲器官 / プロスタグランジンE_2 / 視床下部CRF / インターフェロン / インターロイキン1 / 下垂体・副腎皮質系 / 視床下部・内分泌系 / CRF / バソプレッシン |
研究概要 |
研究目的:本研究の目的は、脳・免疫系連関における(1)視床下部CRF・下垂体・副腎皮質系、(2)視床下部バゾプレッシン系、(3)視床下部CRF・自律神経系および(4)視床下部サイトカイン系の、それぞれの役割を視床下部ニューロン作用機構、内分泌および自律神経反応並びに免疫反応の点から、多角的に解明することである。 研究成果:日本側においては、脳内インターフェロンα(IFNα)による末梢細胞性免疫機能の抑制機序に関与する脳内部位とそのメカニズムについて解析し、平成5年9月に、片渕 俊彦がイタリア国パエスツ-ムでの第2回国際神経免疫制御学会において、その成果を発表し、また、その後ドイツ国バ-ドナウハイム市マックスプランク研究所へ赴き、ジ-モン博士およびリーデル博士と研究打ち合せおよび討議を行った。さらに、平成5年10月〜11月には、マックスプランク研究所のリーデル博士をわれわれの研究所に招へいし、研究成果について討議した。以上の成果の詳細は以下のごとくである。 1.脾臓NK活性:IFNαをラット視床下部各部位に微量注入(50-100U)すると、視索前野(POA)の場合のみ脾臓NK活性が著明に低下した。室傍核、腹内側核および外側野では全く変化なかった。また、視床下部以外の部位でも、大脳皮質、中心灰白質および扁桃体などへ注入したが効果がなかった。海馬への注入では、脾臓NK細胞活性はむしろ上昇した。また、POAにIFNαを注入したときのNK細胞活性の低下は、脾臓交感神経の除神経によって完全にブロックされた。 2.脾臓交感神経活動:脾臓を支配する交感神経の電気活動が、IFNαの脳室内投与で著明に増加することは、すでに報告しているが、IFNαの脳実質内投与による脾臓交感神経活動の変化について検討した。麻酔下ラットのPOAにIFNα(100U)を微量注入すると、神経活動は著明に増加した。一方、室傍核への注入では、交感神経活動の変化はみられなかった。従って、NK細胞活性と同様、IFNαの作用部位としては、POAが最も可能性が高いことが明らかになった。さらに、脳内CRF系の関与を検討するため、CRFを微量注入したところ、POAおよび室傍核のいずれに注入しても脾臓交感神経活動の上昇が観察された。すなわち、CRFの作用部位としては、少なくともPOAおよび室傍核の両方が考えられた。今後さらに検討する必要があると考えられる。 3.インターロイキン1-β(IL-1β)の作用:IFNαと同様、IL-1βも中枢神経系に作用して末梢細胞性免疫機能を低下させるが、脾臓交感神経野活動に対しても、促進的に作用した。その作用は、α-MSHの前投与で完全にブロックされ、また、サリチル酸の前投与でも阻害されたことから、脳内におけるプロスタグランディン産生の関与が示された。プロスタグランディンE2(PGE2)を脳室内に投与しても脾臓交感神経活動は著明に増加し、その効果はαヘリカルCRFの前投与でブロックされた。一方、CRFの投与による神経活動の上昇は、サリチル酸の前投与でブロックされないことから、IL-1βは、まず脳内PGE2の産生を促進し、次にCRF系を賦活化した結果、交感神経系の活動上昇を起こすと考えられた。 4.血中サイトカイン・脳信号変換機構における第三脳室壁前腹側領域(AV3V)の役割:AV3Vは、血液-脳関門を欠く終板器官(OVLT)の近傍で、しかもPGE2の受容体が密に存在することが知られている。そこで、血中に投与したIL-1βに対するAV3Vニューロンの感受性と、その作用メカニズムについて検討した。POAまたは室傍核へ軸索を送るAV3Vニューロンの全例において、血中に投与したIL-1βに応答して発火頻度が変化することが明らかになった。さらに、多連微小電極法を用いて、記録ニューロンにサリチル酸を直接投与すると、IL-1βによる活動変化が減弱したことから、IL-1βによって局所でPGE2の産生が起こり、その結果発火頻度が変化したと考えられた。 5.視床下部ニューロンに対するPACAPの作用:視床下部脳薄切片を作成し、室傍核ニューロンの活動を記録しながら、PACAPの潅流投与の影響を検討した。室傍核大細胞領域の神経内分泌細胞の活動に対し、PACAPは用量依存性に発火頻度を上昇させることが明らかになった。PACAPの脳室内投与が、バゾプレッシン分泌を上昇させることから、その作用機序の一つとして、室傍核のバゾプレッシン分泌ニューロンに対する直接作用が示唆された。
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