研究分担者 |
THOMAS D O′R 米国, コーネル大学・工学部, 教授
MASANOBU SHI 米国, プリンストン大学・工学部, 教授
東畑 郁生 (東畑 郁夫) 東京大学, 工学部, 助教授 (20155500)
大町 達夫 東京工業大学大学院, 総合理工学研究所, 教授 (90126269)
SHINOZUKA Masanobu Princeton Univ., Dept. of Civil Engineering Professor
O'ROURKE Thomas D. Cornell Univ., School of Civil and Environmental Engineering, Professor
O'ROURKE Tho コーネル大学, 工学部(米国), 教授
MASANOBU Shi プリンストン大学, 工学部(米国), 教授
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研究概要 |
研究実績の概要は以下の通りである。 (1) 液状化した地盤の物性と挙動に関する研究 液状化した地盤の物性と挙動特性について,日米両国における各種実験結果(中空ねじりせん断試験,液状化土中の鋼球移動実験等),数値解析結果を収集・分析し,これを総合化して,粘性流体としての特性および剛性が著しく低下した固体としての特性を明らかにした。さらにこれらの物性値を用いて液状化による地盤の側方流動の数値解析を実施し,日本で実施した大型土槽による模型実験および米国で実施した遠心載荷装置による模型実験の結果を良好にシミュレート出来ることを確認した。これらの研究成果を今後さらに発展させることにより数値解析によって液状化地盤の側方流動量を予測することが可能になると考えられる。 (2) 液状化による側方流動量予測のための数値解析パイロットプログラムの共同開発 液状化地盤の側方流動量を予測するための数値解析プログラム(パイロットプログラム)を日本共同で開発した。この解柝プログラムは,液状化地盤とその上部の非液状化地盤の変形挙動を有限要素法および境界要素法を用いて解析するもので,液状化地盤を粘性流体,非液状化地盤を固体として取扱い,境界面において面者の相互作用を考慮している。 本プログラムによる数値解析結果は模型実験による結果と良く一致し,プログラムの有効性が確認された。また,本プログラムを1964年新潟地震において最大8mの側方流動を生じた実際の地盤へ適用した結果,実測値と解析値の間に概ね良好な一致が見られた。 今後,数値解析において噴砂・噴水による液状化土の体積減少を考慮すれば,さらに高い精度で側方流動量を予測することが可能になると考えられる。 (3) GIS(Geograohical Information System:地理情報システム)を用いた液状化による側方流動の分析 1964年新潟地震による新潟市の側方流動について,GIS(米国側研究分担者の提供によるシステム:ARCH INFO)を用いた分析を行った。このシステムは複数点で与えられた地形・土質データおよび側方流動量データを補間し,この結果を画像表示するもので,側方流動と地形・土質条件の相関性をグローバルな視点から検討出来るところにその利点がある。 新潟市大形地区における側方流動の分析より以下のことが明らかにされた。 (i)側方流動は標高の大きい地盤より低い地盤へと発生しているが,地表面の勾配と側方流動量には定量的な相関性が見られない。(ii)側方流動量と液状化層の厚さには強い相関性が認められるが,液状化層の傾きと側方流動量には相関性が見られない。 (4) 液状化による側方流動と地中構造物浮防止に関する研究 地中膜壁により側方流動と地中構造物の浮上を防止する方法について,日本での模型実験および米国での数値解析による検討結果をもとに共同で考察を行った。この工法は杭による支持された膜による側方流動の発生を抑制し,かつ地中構造物の液状化による浮上を防止するもので,他の鋼矢板等により地中壁により工法よりも著しく廉価な工法である。 考察の結果,膜の材質および杭寸法・間隔を適切に設定すれば実地盤への適用が可能であることが明らかにされた。
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