研究課題/領域番号 |
03044139
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
目加田 英輔 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20135742)
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研究分担者 |
MURPHY Johon ボストン大学, メディカルセンター, 教授
米田 悦啓 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (80191667)
岩本 亮 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助手 (10213323)
常岡 誠 久留米大学, 分子生命科学研究所, 講師 (50197745)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1991年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | ジフテリア毒素 / 色素性乾皮症 / エンドヌクレア-ゼ / 遺伝病 / 遺伝子発現 / フラグメントB / 融合蛋白質 |
研究概要 |
1.研究目的 本研究は、遺伝子発現を調節する因子を、細胞の外から細胞核内に輸送するシステムを確立し、細胞外から遺伝子発現を調節することを目的とする。また最終的には、遺伝病の治療や遺伝子発現のメカニズムの解明を目指すものである。ジフテリア毒素は、フラグメントAとフラグメントBという二つの部分からできており、フラグメントBはフラグメントAを細胞内に送り込む働きがある。そこでフラグメントAの代わりに、他の生理活性物質を、フラグメントBに結合させておくと、その物質は、細胞内に侵入することが出来ると考えられる。この研究を行うにあたり、ジフテリア毒素フラグメントBによるタンパク質の細胞内輸送系を確立することが最も重要であるので、ここでは、最も成功の可能性の高いシステムを選び、研究を行うことにした。 2.現在までの研究経過、並びに研究成果 共同研究者であるボストン大学のDr.Murphyらと協議の結果、以下に示すようなシステムで実験を行うことにした。T4ファ-ジがコ-ドするエンドヌクレア-ゼVは、ヒト遺伝病である色素性乾皮症細胞が欠損しているDNA除去修復能を回復させる働きがある。これをジフテリア毒素Bフラグメントにつないで、細胞外から細胞質内に送り込む計画である。このシステムでは、エンドヌクレア-ゼが核に到達して機能を発揮したかどうかは、不定期DNA合成が起こるかどうかを調べればよく、これはオ-トラジオグラフィ-の手法でもって簡単に調べることが出来る。 まずジフテリア毒素Bフラグメント遺伝子とエンドヌクレア-ゼの構造遺伝子を融合させ、誘導可能なプロモ-タのもとに、融合蛋白を大量に発現させるのである。そして、大腸菌から融合蛋白質を取り出し、精製し、それを色素性乾皮症の細胞に加えて、除去修復能が回復するかどうかを調べる。 平成3年7月に共同研究者常岡誠と米田悦啓がDr.Murphyの研究室を訪れ、どの様なデザインの融合遺伝子を造るかについて、具体的に検討を行った。その結果、ジフテリア毒素BフラグメントのN末端側にエンドヌクレア-ゼ遺伝子をつなぐことにした。また遺伝子組み替えに必要な材料をDr.Murphyより分与を受けた。野生型ジフテリア毒素の遺伝子を組み替えすることは、バイオハザ-ドの点で危険性が高いので、フラグメントAやフラグメントBに変異のあるミュ-タントを出発材料に目加田の研究室で組み替えを行った。その結果、組み替えに多くの手数を要したが、平成3年12月に最終的な組み替えが終わり、現在Dr.Murphyの研究室で、大腸菌での生産、精製が行われており、精製がすみ次第、すぐにバイオアッセイに入る予定である。これに関連して、平成4年2月研究代表者目加田がDr.Murphyを訪れ、精製過程での問題点、生物活性の測定に関してさらに詳しい打ち合わせを行った。また、来年度からの研究についても話し合った。 この実験と並行して、目加田は、より効率よくタンパク質を細胞に送り込むための細胞側因子についての解析を行い、ジフテリア毒素リセプタ-にアソシエ-トしジフテリア毒素リセプタ-の細胞膜での発現を高めるタンパク質の発見と遺伝子クロ-ニングに成功した。そして、この遺伝子を色素性乾皮症細胞に導入し、融合蛋白質の出来上がりを待っている段階である。
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