研究課題/領域番号 |
03044142
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
千葉 順成 (1992-1993) 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (50126124)
中井 浩二 (1991) 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 教授 (40028155)
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研究分担者 |
永江 知文 東大, 核研, 助手 (50198298)
福田 共和 (福田 共知) 東大, 核研, 助教授 (50116092)
橋本 治 東大, 核研, 助教授 (50092292)
家入 正治 高工研, 物理研究部, 助手 (50192472)
田中 万博 高工研, 物理研究部, 助手 (90171743)
大塚 孝治 東京大, 理・物理, 助教授 (20201379)
小林 俊雄 理化学研究所, 副主任研究員 (30186754)
中井 浩二 高工研, 物理研究部, 教授 (40028155)
STROTTMAN D. 米国, ロスアラモス国立研究所, 主任研究員
D Strottman ロスアラモス国立研究所, 研究員
REDWINE R. MIT, 教授
ASHERY D. イスラエル工科大学, 物理部, 教授
KITCHING P. トライアンフ研究所, 研究員
BAER H. ロスアラモス研究所, 研究員
千葉 順成 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助教授 (50126124)
市原 卓 理研, リニアック研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | エキゾティック核 / ^<11>Li / 励起状態 / π荷電交換反応 / LAMPF / SKSスペクトロメータ / 巨大共鳴 / 核内△ / π中間子二重荷電交換反応 / 二重巨大共鳴 / 核内Δ / SKSスペクトロメ-タ- |
研究概要 |
(1)^<11>Liのような超中性子過剰核にみられる中性子の“かさ"(ニュートロンハロ-)は、小林らが米国ローレンスバークレー研究所の加速器Bevalacでの高エネルギー重イオン反応の実験で明らかにして以来原子核物理のひとつのトピックスとして注目を浴びている。ニュートロンハロ-のなかでのコアの振動による新しい型の巨大共鳴の探索が本研究の主たるテーマであった。その目的を達成するために、米国ロスアラモス国立研究所の加速器LAMPFを用いて^<11>B(π^-,π^+)^<11>Li反応の実験を行った。その結果、^<11>Liの第一励起状態を世界で最初に発見したのをはじめとして、質量の精密測定や生成断面積などで新しい知見を得ることができた。しかしながら、新巨大共鳴の存在については最終的な結論を得ることはできなかった。これは、LAMPF加速器の運転スケジュールの関係で残念ながら充分なデータ収集が行えなかったことに主な原因があった。同加速器は、近いうちに運転を停止する予定となっているために、今後は、同様のπビームが得られる世界で唯一の加速器であるカナダ・バンク-バのTRIUMF研究所で研究を進めたいと考えている。 (2)米国ローレンスバークレー研究所の加速器Bevalacで重イオンを用いて中性子過剰核の研究を行い、^8He→^6Heの2中性子放出反応が中間状態(^7He)を経由している事をはじめて実験的に示すなどの成果を得た。なお、Bevalacは運転停止となったので、今後は、この研究はドイツ・GSI研究所などで続けていきたいと考えている。 (3)高エネルギー研究所では、LAMPFより高い運動量領域での実験のためのビームラインと超伝導電磁石スペクロトメータの建設が終了し、各種の試験の結果、予定どおりの性能が得られている事を確認した。特に、1GeV/c領域の実験装置で2MeVの分解能を得られたのは世界的にも最初であり、この実験装置によって新しいデータが続々と得られることが期待できる。この装置を使ってこれまでは主にハイパー核の研究が行われ、ハイパー核の励起状態について全く新しい情報を得ることができた。π荷電交換反応の実験を実施するために、外国人も交えて数回にわたって検討を行い、問題点を整理してきた。その結果、πのビーム強度がやや少ない事を除いて実験可能であるという結論を得た。ビーム強度が少ないため実験期間が長期となるので本実験を遂行するには至っていない。 (4)核内△の研究については、高エネルギー研究所での(p,n)反応を利用した実験の解析により、コヒーレントπ中間子放出を示唆するデータが得られ、注目を浴びている。フランスのサクレー研究所での(^3He,t)反応でも同様の結果が得られ、我々の発見が確認された。核内の△粒子が、自由空間での△粒子と核子の相互作用から予想される振舞いと異なっていることを、△粒子の崩壊(△は核子とパイオンに崩壊する)を直接観測することで示したのは世界で初めてであり、今後のπ原子核反応の研究のためにも重要な情報であった。しかし、高エネルギー研およびサクレー研での実験は、コヒーレントπ放出と断定するにはエネルギー分解能が不十分であり、高分解能実験が待たれていた。我々は米国の実験チームと共同でコヒーレントπ放出を確認するために、ロスアラモス研LAMPFで高分解能の実験を約2カ月にわたって実施した。実験は1993年の夏に行い、現在データの整理の段階である。従って、明確な最終結果はまだ得られていないが、コヒーレントπ放出と考えられる兆候がみられ、今後のデータ解析の最終結果がまたれる。 (5)理論研究に関しては、不安定核の核構造や陽子・中性子おのおのの密度分布等についての研究が進み、国際会議や雑誌等に数多くの論文を発表している。この分野は国際的にみても、日本の研究者の貢献が非常に高い。 以上に述べたように、本研究はπ中間子荷電二重交換反応を中心課題としながら、重イオン反応による不安定核、核内△、エキゾティック原子核の理論研究など多岐にわたる関連する研究分野のそれぞれに重要な成果が得られたし、また得られつつある。さらに、今後の研究の発展のための基盤整備にも貢献した。
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