研究分担者 |
TAKAYUKI.KOH ハーバード大学, 医学部, 常勤研究員
BRIAN.HAUGE ハーバード大学, 医学部, 常勤研究員
HOWARD M. GO ハーバード大学, 医学部, 教授
望月 伸悦 岡崎国立共同研究所機構, 基礎生物学研究所, 特別協力研究員
白石 英秋 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90202118)
志村 令郎 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (60025426)
GOODMAN Howard M. Harvard Medical School & Massachusetts General Hospital, Professor
KOCHI Takayuki Harvard Medical School & Massachusetts General Hospital, Researcher
HAUGE Brian Harvard Medical School & Massachusetts General Hospital, Researcher
HWANG Ihnwan ハーバード大学, 医学部, 常務研究員
KOHCHI Takay ハーバード大学, 医学部, 常務研究員
HAUGE Brian ハーバード大学, 医学部, 常務研究員
GOODMAN Howa ハーバード大学, 医学部, 教授
|
研究概要 |
本研究の目的は,高等植物の花芽ば発生分化し花器の形態が形づくられる過程を制御する遺伝的ネットワークをあきらかにし,このネットワークを支配する遺伝子を同定・分離して構造と機能を調べ,各々の遺伝子産物の相互作用の仕組みを解析することであった。具体的には,アラビドプシス(和名シロイヌナズナ)を用い,花芽の形成過程が異常になった突然変異体を分離して変異遺伝子の機能を解析するとともに,変異遺伝子を分離して構造と発現制御機構を調べた。この研究は,日本とアメリカの2研究グループの共同研究として遂行された。岡崎国立共同研究所機構・基礎生物研究所のグループは,アラビドプシスから多数の突然変異体を分離しており,その中から特に花芽の形成から開花に至る各段階に異常を示す突然変異体について組織学,発生学的,および遺伝学的な解析をおこなった。一方,ハーバード大学のグループは,アラビドプシス染色体の詳細な遺伝子地図を作製するとともにRFLP断片地図やジェノミック・クローン地図を作製した。さらに,これらの情報をまとめたコンピュータ・データベースを作製した。このように,これら2つの研究グループの研究方向は互いに異なっているが,互いに共同研究をおこない,情報を交換することによって,発器発生を制御する遺伝子群を分子レベルで明らかにすることができると考えられた。本年度の研究実績は,以下の5項目に分けられる。 1.岡崎国立共同研究機構・基礎生物学研究所の研究グループは,花芽形成異常突然変異体を発生段階に即した4つのグループ(花茎頂の分裂組織の形成異常,花芽分裂組織の形成異常,花器管原基の形成異常,花器官原基の成長異常)に分類し,それぞれの段階に複数の遺伝子が関与していることがあきらかにした。また,遺伝解析からいくつかの遺伝子について染色体上の座位を決定した。さらに,花器管の種類が異常になるホメオティック突然変異体の解析から,花器管原基の分化する方向が3種類のホメオティック遺伝子の発現の組み合せによって決定されるモデルを提唱した。同様なモデルは他の研究グループも発表しているが,我々のモデルは花芽分裂組織の成長が,花官原基の形成される単位領域の数を決定していること,また,ホメオティック遺伝子の一つであるagamous遺伝子がこの機能を担っていること,を含んでいる点が異なっている。 2.ハーバード大学のグループは,アラビドプシス染色体の詳細な遺伝子地図をRFLP断片地図,ジェノミック・クローン地図をまとめ,アラビドプシスに関する研究者のリストや論文を網羅したコンピュータ・データベース(AAtDB)を作製した。このデータベースは既に数回のバージョンアップをおこなって,基礎生物学研究所の我々のデータも取り込んでおり,平成5年3月にはバージョン3となった。 3.平成4年11月に,研究代表者の岡田清孝と研究分担者の望月伸悦をアメリカに派遣し,ハーバード大学の研究グループを訪問して花芽形成遺伝子を分離するための詳細な研究の打ち合せをおこなった。また,ニューヨーク大学のPhilip Benfey教授とロックフェラー大学のNam-Hai Chua教授の研究室に立ち寄ってセミナーをおこない,新たな共同研究について打ち合せた。 4.平成5年3月に,研究分担者の望月伸悦を再度アメリカに派遣し,ハーバード大学の研究グループを訪問して詳細な研究の打ち合せをおこなった。 5.平成4年12月に基礎生物学研究所で第3回アラビドプシス・ワークショップを開催した。このワークショップには,国内の約20の研究室から約70名のアラビドプシス研究者が参加した。この席で,ハーバード大学の研究グループが作製したコンピュータ・データベース(AAtDB)について説明し,国内でも広く利用されるようになった。
|