研究課題/領域番号 |
03044153
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
瀬尾 芳輝 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (90179317)
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研究分担者 |
GERSONDE Kla フラウンフォッファー研究所, ホンブルク大学, 教授
SPRINGER Cha ニューヨーク州立大学, 教授
STEWARD Mart マンチェスター大学, 講師
CASE R.Mayna マンチェスター大学, 教授
杉谷 博士 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (20050114)
石川 透 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (70249960)
村上 政隆 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10104275)
KLAUS Gerson フラウンフォッファー研究所, ホンブルク大学・教授, 教授
CHARLES S Sp ニューヨーク州立大学, 教授
MARTIN C Ste マンチェスター大学, 講師
R MAYNARD Ca マンチェスター大学, 教授
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
1993年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1992年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1991年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | 蛍光分光法 / 核磁気共鳴法 / 多量子NMR / 細胞内電解質 / 潅流臓器 / 細胞内カルシウム / 外分泌腺 / 上皮膜輸送 / 灌流臓器 / 上川膜輸送 / 細胞体積調節 |
研究概要 |
三年間の共同研究により得られた成果のうち代表的な2点について概要を報告する。 1、細胞内水,Na、K、Rbイオンの動的挙動の研究 細胞内外のNa、K、RbをNa-23、K-39、Rb-87 NMR法に緩和時間測定法、多量子緩和測定法を用い、細胞内外におけるこれらのイオンの動的挙動を明かにした。 従来、Na-23磁気共鳴緩和速度はスピン・エコー法や、反転回復法で測定され、生物系では2から3個の緩和速度が測定されている。しかしながら、この複数の緩和速度が、複数の物理的分画のNaイオンに由来するのか、四極子緩和により組みになった二つの緩和速度に由来するのか、直接的な証拠はなかった。多量子(フィルター)NMRにより、はじめて、どの二つの緩和速度が遅い運動状態にあるNaイオンに対応するのか、どの緩和速度成分が速い運動状態にあるNaイオンに対応するのかを、あきらかにすることができるようになった。灌流唾液腺細胞内の輸送されるイオンは「遅い運動状態」にあり、見かけの(平均化された)分子相関時間は10ナノ秒程度であることを明かにした。細胞内のK,Rbイオンについても、数ナノ秒程度の見かけの分子相関時間を持つことを明かにした。また、細胞外のNaイオンの一部は同様に「遅い運動状態」にある。Na,Kイオンのモル容積の違いから、細胞内において両イオン運動状態が大きく異っているのではないかとの仮説もあったが、これら三種のイオンの細胞内における分子環境がさして変わらないというデータは、新たな発見であった。 さらに、測定周波数・測定温度・細胞内Na量等を変化させた測定から、細胞内のNaイオンは、そのほとんどは比較的速い運動状態(分子相関時間10ピコ秒程度)にあり、ごく小さい分画が遅い運動状態(分子相関時間60ナノ秒程度)にあり、両者の間で速い交換をおこなっているモデルが妥当と考えられた。現在、細胞内の速い運動状態にあるNaイオンの運動を分子拡散速度で測定するために、実験準備をすすめている。中核となるのは、最大磁場強度5T/m、スイッチング時間1ミリ秒の自己シールド型磁場勾配コイルであり、現在最終調整中である。 2、細胞内Caの分泌刺激中の時間的変動の測定法の検討 蛍光分光法による上皮膜組織の分泌初期の細胞内Ca変動測定について、灌流臓器による測定法の確立研を行った。 蛍光分光法による上皮組織単離細胞での細胞内Ca変動測定については、1990年初頭より研究者を割っての劇論となっていた。1992年9月に、方法論の確立と合意形成のために研究打ち合せをおこなった。同一手技によって単離された細胞であっても、分泌刺激によって種々の細胞内Ca反応をとることが示された。細胞単離作業により細胞の生理機能の一部が脱落することが示唆され、単離細胞での蛍光分光法による細胞内Ca変化測定についての結果が一致しない原因となっていることが明かになった。そこで、生理機能が維持されている灌流臓器を、蛍光分光光度計内に設置し、Fura-AMを灌流液中に付加し、細胞内に効率よく導入した。更に、蛍光の定量化の手法を検討し、再現性ののよいデータを得る方法を確立した。さらに単離細胞を用いた結果との刷り合わせを行ない、生化学的手法により細胞内情報伝達系を定量的に測定することにより、1993年中に数々の新しいデータを得ることができた。
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