• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

医用高分子材料の安全性・溶出性試験法の標準化に関する共同研究

研究課題

研究課題/領域番号 03044166
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

佐藤 温重  東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (40045985)

研究分担者 本郷 敏雄  東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (60142444)
佐藤 和子  東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (50046083)
粂井 康宏  東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (30161714)
顧 国珍  上海第二医科大学, 生物材料研究室, 助手
張 彩霞  上海第二医科大学, 生物材料研究室, 教授
薛 みや  上海第二医科大学, 生物材料研究室, 教授
GU Guozhen  Shanghai Second Medical University
XUE Miao  Shanghai Second Medical University
ZHANG Cai-Xia  Shanghai Second Medical University
研究期間 (年度) 1991
研究課題ステータス 完了 (1991年度)
キーワード医用高分子材料 / 溶出試験法 / アクリルレジン義歯床材料 / 残留モノマ-量 / 安全性試験法 / 細胞毒性試験法
研究概要

本研究は医用高分子材料の毒性はそれから溶出する化学物質の毒性と溶出量に起因すること、また溶出試験法や安全性試験は国際的均衡が重要であることに着目し、日本ー中国による以下の3項目についての国際学術研究が実施された。
1.溶出試験法共通手順書の作成:薛みや、張彩霞 上海第二医科大学教授と事前に共通手順書について情報交換を行った。張彩霞教授を8日間本学に招聘し、共通手順書の最終案を作成した。
2.溶出試験法の基礎条件の検討:中国研究者顧国珍助手を3カ月間本学に招聘し、義歯床材料の溶出試験の共同研究を行った。市販アクリルレジン義歯床材料の試験片(10×15×1.7mm)を作成し、50ml用の共栓三角フラスコに入れ、30mlの溶出溶媒を添加して、室温で遮光下で放置し、適時溶媒を交換した。採取した溶出物を含む浸漬液を高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)で分析した。HPLCによる溶出物質の分析条件としてカラムは逆相系のカラムを用い、移動相は水/アセトニトリル混合液(混合比=52/48)、カラム温度は40℃、流量は1ml/min、検出波長は235nmの吸収を測定し溶出物質の定量には一点絶対検量線法を採用し、これを共通手順書とした。
試験材料の主成分はメチルメタクレ-ト、ハイドロキノン、エチレングリコ-ルジメタクリレ-ト、過酸化ベンゾイル、ポリメチルメタクリレ-ト、顔料であり、加熱重合硬化後の試験材料を24時間超純水中に浸漬したところ、試験材料からの溶出物質が認められなかったが、溶出溶媒としてメタノ-ルを用いるとメチルメタクリレ-ト、過酸化ベンゾイル、他に未同定のピ-クが検出された。この分析条件による各物質の保持時間はメチルメタクリレ-トで5.4分、過酸化ベンゾイルで25.7分、未同定物質では2.6,7.5,19.6分であった。
メチルメタクリレ-トの溶出はメタノ-ル浸漬後7日間でほぼ消失したが、一方、過酸化ベンゾイルの溶出は3週間経過しても検出できた。15日間の総溶出量はメチルメタクリレ-トで17.3mg/g樹脂、過酸化ベンゾイルで4mg/g樹脂であった。この溶出されたメチルメタクリレ-トの溶出量はモノマ-として添加した量のおおよそ10数パ-セントであった。残留モノマ-量は硬化処理法、形状等の影響を受けることが知れれており、本研究の成績は実際の義歯床中の残留モノマ-量を示すものではないが、厚みの薄い試験片では比較的多量のモノマ-の残留があることが明かとなった点は注目されるものである。共通手順書の方法は溶出試験法としての妥当性が確認された。
3.安全性試験法の国際標準化:国際標準化機構(ISO TC194)、国際歯科連盟(FDI106)、ドイツ、英国、中国およびわが国の医用材料の生物学的評価法に採用されている細胞毒性試験性について調査した。ISO/FDI106ではLー929、HeLa細胞を用いた ^<51>Cr遊離法、Lー929細胞を用いた寒天重層法、ミリポアフィルタ-法、わが国の眼内レンズ基準にはLー929細胞を用いた寒天重層法とタンパク定量法、ドイツではDIN VI3930にLー929細胞,HeLa細胞を用いた ^<51>Cr遊離法及びLー929細胞を用いた寒天重層法、タンパク定量法、英国ではBS5828にBHKー21細胞を用いた細胞数計測法、フランスではNF S90ー702にLー929細胞を用いたニュ-トラルレット法が採用されていた。また、これら規準には一部定量性、簡易性において不十分な方法が採用されていた。試験細胞、毒性指標標準物質等の国際的標準化が必要であることが明かとなった。本研究においては各試験法を比較した結果をもとにLー929細胞を用い、検体の抽出液を試料としたニュ-トラルレッド法を標準法の候補として研究室内再現性を検討し、本試験法が極めて高い再現性を有することが明らかとなった。今後細胞毒性試験法規準化の基礎的資料が得られた。
以上、本研究は国際学術研究として医用材料の試験法の標準化に関する両国の情報の交換が行われ、また標準化に必要な基礎的知見を得ることができ、目的が達成された。

報告書

(1件)
  • 1991 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 佐藤 温重他: "歯科材料溶出試験の基準化" 口病誌. 59. (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 本郷 敏雄他: "アクリルレジン義歯床の残留モノマ-、重合触媒" 歯科材料・器械. 11. (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Atsushige Sato: "Standardization of dissolution tests for dental materials" J. Stomatol Soc. Japan.59. (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Toshio Hongo: "Unreacted monomer and catalyst of acrylic resin dentures" J. Jap. Soc. Dental Materials and Devices. 11. (1992)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1991 研究成果報告書概要

URL: 

公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi