研究分担者 |
PEIGNEUX J.P 素粒子物理学研究所, 物理部(アネシー・フランス), 教授
STROOT J.P. 欧州連合物理学研究所, 物理部(ジュネーブ・スイス), 教授
PROKOSHKIN Y 高エネルギー物理学研究所, 物理部(プロトビノ・ソ連), 教授
河合 秀幸 千葉大学, 教養部, 講師 (60214590)
清水 肇 山形大学, 教養部, 助教授 (20178982)
中村 輝男 宮崎大学, 工学部, 教授 (00025305)
稲葉 進 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (10013434)
都留 常暉 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (60044781)
小林 正明 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (40013388)
PROKOSHKIN Yu. D. Department. of Phys, Inst. for High Energy Physics, IHEP, Protvino
|
研究概要 |
1.研究の概要と特徴:ハドロン反応を用いて,QCDに基礎を置き,SU(3)を枠組として,主として中性中間子の固定を目指し,併せてQCDの予想するエキゾチック状態を探索し,QCDの検証を行うことを目的とする。本研究はCERNの450GeV・SPS及び旧ソ連邦IHEPの70GeV・PS及びKEKの12GeV・PSに依る,夫々異なるエネルギ-領域に施ける中間子の分光学的研究のアンサンブルの上に立ち,直接的には,CERNに於けるGAMS4000及びIHEPに於けるGAMS4π検出器による夫に独立したデ-タ採取とそれらのデ-タ解析を主内容とする。GAMS検出器はハドロニ反応によって生成された中性中間子が崩壊して生ずるγ線を高精度で検出することにより中間子状態を同定する極めて特徴的な,世界的に定評のある検出器である。1988年以来,KEKはGAMS研究計画に参加し,これら検出器系に関して,高速デ-タ採取系の増強(GAMS4000)及び荷電粒子検出用大型ドリフトチエンバ-読出系の開発・製作に寄与し,実験の成功に寄与して来た。この問検出器系開発も精力的にすすめた。 2.デ-タ採取及び開発研究:1991年5月ー9月の期間,96日の長期に亘ってCERN・SPSの450GeV陽子ビ-ムを用い,陽子ー陽子中心衝突による中性中間子生成についてデ-タ採取を行い,約8×10^7個のトリが一事象を得た。この間LAPPを中心に開発された反跳陽子検出TOF系が新たに装備された,PKEKーCERNを中心に開発された高速デ-タ採取系のテストが精力的に行われた。一方,IHEPにあってはGAMS4πの増強が精力的に進められ,荷電粒子検出用大型ドリフトチエンバ-の組込みが行われた。チエンバ-本体はグルジア共和国物理研究所が担当し,KEKは信号読出し系の開発と製作を行ない,本年度は約半数のモジェ-ルが装着され,高精度が安定に動作することを確認した。70GeVPSに依るデ-タ採取は,1991年11月ー12月の間に行われ,πP荷電交換及び中心衝突生成追程のデ-タを採取した。これらの開発研究・デ-タ採取に際し,日本側から表に示すような参加が出来た。表中の奨学金はLAPPより日本人若手研究者に支援されたものである,【figure】又技官2名の協力を得ている。 この間γ線検出用全エネルギ-吸収型検出器用放射体の開発研究が鋭意すすめられた。 4.国内研究体制と研究者招聘:採取されたデ-タはDSTの形で日本に持帰り,KEK大型計算機を用いて解析されている。この大型計算機には宮崎大・山形大よりネットワ-クを介して直接使用出来,解析はKEKと各大学を結んで効率的に行われている,1992年2月末には,理論家の参加を得て,軽クオ-ク中間子の研究会をKEKで開催し,国内外の研究成果を検討し,今後の展望を得る予定である。他方,KEKーIHEP共同研究の一環としてIHEPにより二人の中堅研究者を招く予定である。一人はKEK招聘に依り2ヶ月滞在,他の一人は文部省外国人研究者招聘により6ヶ月滞に予定で2月に来所し,共にデ-タ解析に従事する予定である。 5.デ-タ解析の進展と成果:本年度CERN・IHEPに於て得られたデ-タは,目下解析下にある。この間我々は1990年迄に得られたデ-タの解析をすすめ,終状態が77'に崩壊する新しい共鳴状態の知見を得た。荷電交換反応に於て質量1910MeVを有しSU(3)ノネットの枠外にあるエキゾチック状態と推定されている。又同じく荷電交換反応に於て終状態がωπ゚に崩壊する状態の解析がすすめられた。KEKに於いて研究された質量領域の更に高い領域の解析を行ったもので,質量2200MeVに9(770)の高励起状態を新しく見出したものと考えている。これらの結果はKEKに於ける他の研究と共にハドロニ91国際会議に報告され,学術誌に投稿されている。一方6γに崩壊する終状態の解析は7π゚π゚系に新しい知見が期待され,KEKに於て鋭意解析が行われている。 6.今後の展望と期待:性能増強を得た核出器系によるデ-タの解析を一層推進する。幸い1992年より3ケ年計画で新規の共同研究が科研費に於て認められた。一層の高精度解析をすすめたい。
|