研究課題/領域番号 |
03044174
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
本田 良行 千葉大学, 医学部, 教授 (30019525)
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研究分担者 |
BLAKEMORE Co オックスフォード大学生理学研究所, 所長
NYE Piers G. オックスフォード大学生理学研究所, 講師
ROBBINS Pete オックスフォード大学生理学研究所, 講師
斉藤 俊弘 千葉大学, 医学部, 講師 (40009593)
増田 敦子 千葉大学, 医学部, 助手 (70165710)
榊原 吉一 金沢工業大学, 教授 (50092060)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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キーワード | 圧受容器 / 血液ガス / 循環・呼吸活動 / 低酸素 / 高炭酸ガス / 脳血流 |
研究概要 |
1.ヒトにおける血液ガス組成に由来する圧反射への影響について 無侵襲的に頸動脈体圧受容器を刺激するネック・カラ-を作製した。低酸素、高炭酸ガス、低酸素+高炭酸ガスの混合気を吸入させながら、種々の陰圧負荷によるNeck suctionを行った。 1)圧受容器の刺激効果は、呼息に有効なゲ-ト現象が見られた。2)炭酸ガスは常に圧受容器の刺激効果を抑制するように働いた。3)酸素欠乏と炭酸ガスは圧反射の徐脈に相乗効果を認めらた。4)Neck suctionの効果は、40と60mmHgとの間に飽和状態に達する。 2.脳血流に対する血液ガスの変化の影響 低酸素刺激の効果が、圧受容器活動において予期したほどの大きさが認められなかった。それで、低酸素により脳循環がどのように変化するかを測定し、上に述べた研究結果と如何に対応するかを検討することとした。 脳血流は、無侵襲的に、レ-ザ-・ドプラ-法を用いて、大脳中動脈の血流速度を検出した。血液ガスレべルは(1)肺胞酸素圧200mmHgの高酸素レベル、(2)肺胞炭酸ガスレベルを5mmHg上昇させる高炭酸ガス、(3)肺胞酸素レベルを50mmHgに低下させた低酸素、(4)高炭酸ガスを低酸素の組合わせ。の4種の条件下で、20分間連続的に脳血流を測定した。実験は5人の被験者につき、4つの実験条件の間に30分の休憩を置いて連続実施した。さらに、日を置いて、一連のテストを再度実施した。 実験結果は、目下解析中であるが、大凡の傾向として、1)低酸素刺激の効果は脳血流を増加させるが、その時定数は比較的長い。2)炭酸ガスは急速に脳血流を増加させる。3)低酸素と炭酸ガス刺激は脳血流増加に対し相乗作用がある。ことが見出された。 3.低酸素時における呼吸・循環に二相性の抑制と脳血流の変化 低酸素は、生体の組織の機能を維持する上で重要であるが、とくに中枢神経系は酸素の欠乏に対して弱いとされている。最近、低酸素が10分以上持続する場合、初期の末梢化学受容器の刺激に由来する呼吸、循環系の活動が次第に低下する二相性の抑制が大きな関心を集めている。この機転については、1)低酸素刺激中に、中枢性の呼吸抑制物質、アデノシン、GABA、乳酸などが次第に蓄積する可能性。2)末梢化学受容器の活動が時間と共に順応し、低下する可能性。などが論ぜられている。しかし、いずれも決定的な直接の証明がない。また、動物実験の結果は、必ずしもヒトに対して当てはまらないことが主張されている。われわれは、この二相性の呼吸循環の抑制を脳血流の面から説明できるか否かを検討した。この実験のためには、オックスフォ-ド大学で開発されたコンピュ-タ-制御の迅速、正確な血液ガス調節装置が必要であった。この問題については、昨年行われた共同研究で3名の被験者について予備な検討を行ったが正確な結論を得るに至わなかった。今回の実験では5名の被験者について測定することができ、結果の解析中である。 2と3の報告については、共同研究者の支給が年度末となったために、まだ充分な実験デ-タの整理ができていないことを付言する。
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