研究分担者 |
ヒューレット エドモンド カリフォルニア大学, ロサンゼルス校・歯学部, 講師
クラーク グレン・トーマ カリフォルニア大学, ロサンゼルス校・歯学部, 教授
西川 啓介 徳島大学, 歯学部附属病院, 助手 (10202235)
池田 隆志 徳島大学, 歯学部, 助手 (30193204)
近藤 一雄 徳島大学, 歯学部, 助手 (00195893)
中野 雅徳 徳島大学, 歯学部, 助教授 (30136262)
HEWLETT Edomond R. The University of California Los Angeles, School of Dentistry, Assistant Profess
CLARK Glenn T. The University of California Los Angeles, School of Dentistry, Professor
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研究概要 |
顎口腔機能異常の発症因子としてのブラキシズムに関する共同研究において平成3年度は,1.研究環境の整備,2.ブラキシズム患者の4chポ-タブル測定器を用いた生体情報の計測,3.ブラキシズムの定量的評価法の開発,4.定電流刺激によるブラキシズム治療法の開発を行った. 1.研究環境の整備 徳島大学においてDEC社製VAX3800を中心とし,記録デ-タおよび解析結果を格納するためのソニ-デ-タレコ-ダ"PCー108M"ならびに大容量光磁気ディスクを含めたブラキシズムデ-タ解析システムのハ-ドウェアを完成させた.また共同研究施設であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯学部歯科研究所において記録されたデ-タを,徳島大学の解析システムへ移植することに成功し,相互の研究施設におけるデ-タや解析ソフトウェアの互換性を計る見通しがついた. 2.共同研究者の近藤はポ-タブル測定装置を用いてブラキシズム患者10名について,咬筋筋電図,呼吸,心電図の5夜連続測定を行った. (1)RMS処理した咬筋筋活動について解析を行った結果,最大咬みしめ時の3%以上筋活動をしめすブラキシズム持続時間は14.3±13.9秒,振幅は最大咬みしめ時の19.2±31.2%であった.また,ブラキシズム発生時の心拍数は72.8±12.5pulse/分であり,ブラキシズム発現5秒前の心拍数より18.0±9.2%増加していた. 3.解析結果をもとに咬筋筋活動と心電図の変化にもとずいたブラキシムの定量的評価法について検討し,共同研究者のUCLAクラ-ク教授とともにIADR学会において報告した. 4.口腔外に設定したスイッチによりブラキシズムの発生と同時に約1mA,10Hz程度の定電流刺激を口唇に与え,ブラキシズムをコントロ-ルすることを計画した.各被験者について連続5夜にわたる夜間睡眠中の口唇への定電流刺激により以下の結果を得た. (1)5名の被験者のうち3名についてブラキシズムの発現回数の減少および咬筋筋活動の持続時間の減少を認めた. (2)咬筋筋電図をRMS処理し定電流刺激を与えた時刻で平均加算を行った結果5名中において筋活動の抑制が認められた. (3)口唇への定電流刺激を与えても心拍数および呼吸数に変化がないことや,被験者も睡眠中に刺激を感じることはほとんどないことから,定電流刺激が睡眠を妨害することは極めて少ないと思われる. (4)共同研究者の西川,近藤およびUCLAクラ-ク教授が研究の成果をAADR学会において報告した.今後研究を継続していくにあたり以下の事柄を計画している. 1.現在デ-タ記録用に使用している4chポ-タブル測定器にかえ,8チャンネルの同時無線計測が可能なマルチテレメ-タシステムを利用し,無拘束に近い条件でより多くの生体情報を記録する. 2.共同研究者のUCLAヒュ-レット講師は咬合面の3次元計測を専門に行っており,咬耗状態の計測ならびに客観的評価を行うためのスコア化を進める.なお研究打ち合わせのため平成4年度に徳島大学への招へいを予定している. 3.新たなデ-タの蓄積と詳細な解析を行い,より信頼性の高いブラキシズムの定量的評価法を確立する. 4.定電流刺激を与える部位や刺激条件について検討を行い,ブラキシズムをコントロ-ルするための最適刺激条件を求める.
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