研究分担者 |
C. Laborde グルノーブル大学, LSD, 助教授
J. Laborde グルノーブル大学, LSD, センター長
N. Balacheff グルノーブル大学, INP, 教授
東原 義訓 筑波大学, 電情学系, 助手 (90143172)
清水 静海 筑波大学, 教育学系, 助教授 (20115661)
中山 和彦 筑波大学, 電情学系, 教授 (50091913)
BALACHEFF Nicolas University of Grenoble 1, INP
LABORDE Collette University of Grenoble 1, LSD
LABORDE Marie University of Grenoble 1, LSD
LABORDE C. Crenoble大学, 数理学部, 助教授
LABORDE J. Grenoble大学, 数理科学, 教育センター長
BALACHEFF N. Grenoble大学, 数理学部, 教授
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研究概要 |
両大学間協力研究は,過去の実績の上に行われておる。特に,グルノーブル大学の情報科学研究の成果であるグラフ理論をベースにした「カブリ幾何」のソフトを用いて,学校数学での図形における問題解決過程において,子どもが獲得していく発見と証明の関係を,子どもの推論過程を認知・発達の観点から研究して,日仏間の子どもの文化的異同を明らからにしきている。これは,当初の目的から継続しておかれており,既に解明した幾つかの命題はある。現在は,更に両大学で開発研究を進めてきたコンピュータ・ソフト「カブリ・ジオメトリ」日本版に改良によって,日本の学校教育において処理が早く,適用範囲が拡大した。これは従来からあるCAI利用からさらに発展的なシステム等へと改善することをねらっている。この点に関しては,現在,多少問題点を残しているとはいえ,ほぼ解決しているところであり,また研究の成果,特に現場での実践を通した研究内容を,近い将来公開する予定である。仮のタイトルは「カブリによる発見の幾何学習」で,そこでは,カブリによる幾何に世界が取り扱われ,これまで我が国では見出すことの出来なかった新しい学習環境が幾何の世界に導入されようとしている。それは,これまでの静的で変化の乏しい学習環境から,思考実験を可能にするとともに,子ども自らが主体的に学習できる世界が約束されるであろう。ただし,問題点がないわけではない,つまり子どもがカブリによる幾何の世界に慣れることが必要であり,また指導される教師がカブリによる幾何の世界の在り方について精通すること必要である。言い換えると,プロとしての力を持っている教師でなけるばカブリによる幾何の世界を構成できなるところがある。また,よりよい教科書も必要である。この点は現在研究中である。 次に,基礎的研究として,日仏の数学のカリキュラムと教科書及び子供の達成度をIEAなどの調査から,意図的・実際的・子供による達成されたカリキュラムとの差異を文化的な背景を明らかにしてきている。つまり,フランスの変換を中心にした幾何の構成と我が国のユウクリッド流を中心に静的な展開に差異が見出せた。また,それと並行して「カブリ・ジオメトリ」の改良によって,子供の認知的発達段階の調査を通じて,日仏の教授・学習へに影響はその国のカリキュラムに依るところが大きいことが見出されてた。特に,子供の発見における推測と証明への過程とそこでの克服のしかたを,つまり,子供の推測から証明への論証過程での認知プロセスを「カブリ・ジオメトリ」を用いた後のインタビューで解明した。それと同時に教科書の差異によるところが推論の差異に大きく影響していることも見出した。 この研究から,日仏の異文化下におけり幾何的な(図形的を含む)問題解決過程における推測と証明の役割を明らかにした。特に,両大学で開発研究を進めてきたコンピュータ・ソフト「カブリ・ジオメトリ」の改良によって,世界の主要な24か国で利用可能になり,本研究は新しい局面を開らく可能性を見出すところまできている。また,さらに,よりよいコンピュータ・ソフトの開発を進め,それを利用することによって,日仏間の研究を中心に世界的視野での比較文化的研究が可能となりつつある。その可能性の検討とソフトの開発研究を継続するため日仏両大学間で進めている共同研究をさらに継続して世界の主要な国々で,できれば発展途上国の子どもたちが使用できるように改善していくことが必要であろう。 さらにこれまでの研究と今年7月18日から23日まで筑波大学で開催予定の第17回数学教育心理国際会議(通称PMEと言われており,今回の会議は文部省に依って資金援助を受けるとともに筑波大学の主催で行われる)に多数のグルノーブル大学関係の研究者が集まり,共同の研究発表を持つとともに,さらに,この会議の終了後,両国間の研究会議をを行うことになっている。そのために,共同研究者が付属学校などの数校を選定し,実験研究授業の計画を立て,そして改良した「カブリ・ジオメトリ」のソフトを用いて認知的なアプローチをするとともに情意的な側面からにフォローをして,一体的な調査研究を行う予定である。
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