研究分担者 |
TSUNEKAWA Ma University of California, San Francisco・S, Research C
JANDRESEN Ma University of California, San Francisco・S, Professor
SETCOS James University of California, San Francisco・S, Associate
STARK Marvin University of California, San Francisco・S, Emeritus P
HUME Wyatt R University of California, San Francisco・S, Professor
MARSHALL Gra University of California, San Francisco・S, Professor
MARSHALL Sal University of California, San Francisco・S, Professor
宇佐美 祐一 新潟大学, 歯学部, 助手 (10193856)
福島 正義 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (30156773)
岡本 明 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (10143786)
子田 晃一 新潟大学, 歯学部, 助教授 (90018755)
JANDRESEN Malcom D. University of California, San Francisco, School of Dentistry, Professor
常川 勝由 Univ. of California, San Francisco・School, Research C
MALCOM D Jen Univ. of California, San Francisco・School, Professor
JAMES C Setc Univ. of California, San Francisco・School, Associate
MARVIN M Sta Univ. of California, San Francisco・School, Professor
GRAYSON W Ma Univ. of California, San Francisco・School, Professor
SALLY J Mars Univ. of California, San Francisco・School, Professor
JENDRESEN Ma School of Dentistry, Univ. of California・S, Professor
JAMES C.Setc School of Dentistry, Univ. of California・S, Associate
MARVIN M.Sta School of Dentistry, Univ. of California・S, Professor
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研究概要 |
本研究は,生体に対して優れた親和性を示すと共に,歯質に対して強固に接着する新しい歯牙硬組織疾患修復材を開発する目的で行われた。研究は調書に示されたごとく次の様な計画で進められ,充分な成果が得られた。 新材料の開発・試作:従来から多くの修復材料の使用が試みられてきたが,近年,グラスアイオノマー系の材料がその組成上,歯髄刺激が少なく,しかも液のポリアクリル酸により歯質接着性も優れていた。しかしながら,本材料は感水性が高く,乾燥に弱いために物性に難があり,臨床上広範な応用には不適当であった。そこで,本材料の新組成を検討し,光重合型として,修復材および裏層用としての応用を試みた。すなわち,試作材料Mas #6,Mas #7の2種類の材料について各種試験を行った。 新材料の剪断接着力および辺縁部微小漏洩性の検討:in vitroに於て歯質への剪断接着力を調べたところ,他の同系の材料に比べてその成績は著しく優れていた。人抜去歯を用いて,2級窩洞,5級窩洞を形成し,両材料を修復用および裏層用として,単独に,あるいはアマルガム充填下の裏層用として微小漏洩試験を行った。その結果,市販の同系材料に比べて著しく優れた成績を示した。また,根面ウ蝕への応用を検討するために,象牙質窩洞への応用を試み,市販の象牙質接着性を標榜する各種材料と比較検討したところ,それらに比べて本材料の辺縁封鎖性は極めて優れていた。 新材料の酸性度および象牙質スミア-層の除去効果についての検討:Mas #6のpHは,他の同系材料と同様に比較的継続的に低い値を示すので,歯髄刺激性に配慮して水酸化カルシウムを若干加えたMas #7では,初期pHは低く,窩洞のスミア-層は充分除去する性能は有するが,直ちに上昇を始めて中性に近づいていくため,より一層生体刺激性が少ないものと考えられる。 新材料の弗素徐放性についての検討:光重合型であるため市販の化学重合型のグラスアイオノマーセメントに比較すれば弗素徐放性は少ないが,湿潤条件下では,充分な徐放性を示すことが明らかになった。 新材料より溶出した弗素の象牙質への取り込みについての検討:従来より修復材料から溶出した弗素のナエメル質への取り込みとそのウ蝕予防効果については数多くの研究があり,その効果が高く評価されているが,象牙質については,ほとんどない。ところが,高齢化社会を向えて,歯肉退縮による歯根面象牙質の露出が増加してくると,根面ウ蝕の多発が考えられ,象牙質面におけるウ蝕予防の検討が重要になってくる。そこで,本材料より溶出した弗素の象牙質への取り込みについて調べた結果,充分にその性能があることが明らかとなった。 弗素を取り込んだ象牙質面の酸抵抗性についての検討:新材料より溶出した弗素が象牙質面に取り込まれた場合の象牙質面の酸抵抗性について調べたところ,未処理象牙質に対し抵抗性の明らかな上昇がみられ,充分なウ蝕予防効果が期待できることが解った。 犬および猿を用いた新材料の歯髄刺激についての検討:国際規格に基づいて,ポジテイブコントロールとネガテイブコントロールを用いた新材料の歯髄刺激の病理組織学的研究では,本材料の歯髄刺激は全く見られず,生体親和性が非常に優れていることが明らかとなった。 以上の研究の総合的評価として,本材料は,市販の同系材料に比べて諸性能が著しく優れていることが判明し,充分臨床応用の価値があることが示され,今後の臨床成績にも,期待が持たれるものと考えられる。
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