研究分担者 |
周 岐偉 広西農学院, 講師
楊 美純 広西農学院, 講師
許 鴻源 広西農学院, 教授
福井 博一 岐阜大学, 農学部, 助教授 (20183585)
ZHOU Qiwei GUANGXI AGRICULTURAL COLLEGE
XU Hongyuan GUANGXI AGRICULTURAL COLLEGE
程 仁品 広西農学院, 教授
田中 逸夫 岐阜大学, 農学部, 助教授 (10117161)
程 仕品 広西農学院, 教授
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1993年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1992年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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研究概要 |
広西農学院から許教授、楊講師及び周講師を招へいし,岐阜県及び愛知県におけるラン栽培の現状を調査した。特に愛知県はラン栽培の日本の先進地であることから、愛知県の産地の視察を重点的に行った。 許教授は,広西農学院蘭科組織培養研究室主任教授であることから,日本で栽培されているラン科植物の総目録及び日本のラン生産者住所及び氏名一覧の入手し,これに基づき,今後中国国内で需要が高まると考えられるラン品種の選定を視察農家を含めて討議し,数十種類のランを選択した。また,中華人民共和国での花卉の生産が鉢花(盆花)の生産が中心で、切り花栽培が発達していないことから,種苗の購入,育苗,施肥,潅水,開花処理などの技術的な面からの栽培情報の聞き取り調査を行い,中国における切り花栽培の品種の選定等を含めた花卉栽培の指針作りを行った。この中で、愛知県のラン生産農家が自家で育成した優良品種について提供を受け、広西農学院において栽培を行った結果、広西農学院でのランの生育が日本での生育に比べて著しく早いことが明らかとなり、当該農家とのラン種苗の委託生産契約が成立し、11月より生産が開始された。 また、中国ではほとんど実施されていない営利目的とした花卉及び野菜の組織培養苗生産企業についても視察を行い、施設の整備状況、使用機材の一覧、雇用人員数等を調査し、生産コストの算定を行うと共に、専門技術員の教育体制あるいは営業手法を含めた実務的な事情についても情報の提供を受け、中国における植物組織培養苗生産の可能性について討論を行った。その結果、中国における植物種苗の現地生産の可能性が高いことが明らかとなり、広西農学院との植物組織培養種苗生産における合弁企業の設立に関して合意が成立した。また、これに関しては本科学研究費に基づく研究の終了後についても継続して当時者間が協議を行い、平成6年度中には調印が行われることとなった。 本研究の課題である「ランの組織培養と工場生産化に関する研究」における成果としては、岐阜大学及び広西農学院の共通植物対象として高級ランの一種であるバンダを選定した。これは鉢花として流通できるばかりでなく切り花用花卉としても流通できる植物で、世界的な研究レベルにおいても研究が遅れている植物である。共同研究を実施した結果、広西農学院ではこれの無菌播種技術の開発を取り組み、岐阜大学では生長点培養技術及び不定胚形成技術の開発について実施した。 広西農学院における研究成果としては、3種類の培地の検討を行い、その中ではMS培地が適しており、これにBAP0.3mg/lとNAA0.05mg/lを添加することで生育が促進し、さらにカザミノ酸あるいは未熟バナナ果汁を添加することによって良好な生育がえられることが明らかとなった。これらの成果は広西農学院研究報告に取りまとめられ、出版された。 岐阜大学における研究成果としては、親植物から生長点培養の採取部位としては頂芽の生長点が最も適しており、腋芽の生長点の生育は頂芽生長点のそれに比べて著しく生長が遅いことが明らかとなった。また、5種類の基本培地の検定を行った結果、RC培地が最も適しており、これにBAPを0.1μM添加することで生育が著しく促進され、良好なプロトコームが形成された。このプロトコームを継代培養した結果,不定胚,不定芽プロトコームの集合体であることが明らかとなった。これらの組織をそれぞれ分離して培養した結果,不定胚集塊,不定芽集塊,プロトコーム様集塊に分けられた。 広西省における自生植物を調査した結果,数種のイワタバコ科植物を見つけることができ,日本で栽培されているセントポ-リアの育種に活用できる可能性が明らかとなった。また,ラン科のデンドロビウム属の野生ランを採取し,広西農学院で栽培し,今後デンドロビウムの耐病性育種に活用する計画である。
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