研究課題/領域番号 |
03045027
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
佐野 晴洋 滋賀医科大学, 医学部, 学長 (60025533)
|
研究分担者 |
劉 暁旭 中華人民共和国, 吉林医学院, 助教
劉 雲江 中華人民共和国, 吉林医学院, 助教
付 桂蓮 中華人民共和国, 吉林医学院, 助教
越智 幸男 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90079773)
木之下 正彦 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60093168)
福田 眞輔 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20028559)
野崎 光洋 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00025545)
LIU Xiao-xu Lecuturer Jilin Medical College
LIU Ynu-jiang Lecuturer Jilin Medical College
FU Gui-lian Lecuturer Jilin Medical College
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 日中間学術交流 / 生体代謝調節 / 酸素添加酵素 / 3,5ージクロロカテコ-ル1,2ー二原子酸素添加酵素 / カテコ-ル2,3ー二原子酸素添加酵素 / 異常感覚 / 微小電極法 / 手根管症候群 / microneurography / carpal tunnel syndrome / cubital tunnel syndorome |
研究概要 |
従来原因不明とされていた難病の多くが、生体代謝異常および生体情報伝達異常に起因することが近年の研究により明らかになりつつあるが、代謝調節および生体情報伝達異常の詳細については不明な点が多い。本研究は、滋賀医科大学と中華人民共和国吉林医学院との協同研究により、生体代謝調節および生体情報伝達とその異常の研究を推進することにより、難病の原因解明の一助とすると同時に日中の学術交流を促進させることを目的とし、下記の学術交流ならびに研究を行った。 1.生体代謝調節および生体情報伝達に関する日中間の学術交流:平成3年10月1日、中華人民共和国吉林医学院より付桂蓮助教と劉雲江助教が来日し、以来2カ月半にわたり滋賀医科大学に滞在した。付助教は生化学第一講座(主任教授:野崎光洋において「酸化還元酵素の反応機構とその調節について」、劉助教は整形外科学講座(主任教授:福田眞輔)において「末梢神経紋把障害による異常知覚について」共同研究を行うとともに、それぞれの講座において研究討論を行い、さらに、今後の研究協力について打ち合わせを行った。 2.生体代謝調節における酸素の役割: 酸素が生体酸化あるいはエネルギ-代謝において重要な役割を演じていることは周知の通りである。しかし、それ以外にも酸素は酸素添加酵素反応を介して、アミノ酸・脂肪・糖質・核酸・ビタミン・ホルモン・芳香族化合物等生体必須物質の代謝調節、あるいは薬物・毒物等の外来性物質の代謝の上でも、重要な役割を果たしていることが明らかになっている。特に最近、ステロイドホルモン・プロスタグランジンおよび内皮細胞由来血管拡張因子といわれるNOの合成や、ペプチドホルモンの活性発現など、生理活性物質の合成や活性発現にも酸素添加酵素が関与することが明らかとなり、生体情報伝達機構の点からもに注目を集めている。 我々は代表的な酸素添加酵素であるカテコ-ル体二原子酸素添加酵素について、以下の研究を行った。1)2,4ージクロロフェノキシ酢酸(2,4ーD)を唯一の炭素源として生やした緑膿菌より3,5ージクロロカテコ-ルの環開裂反応を触媒する酵素を均一にまで精製した。本酵素が、3,5ージクロロカテコ-ルの2つの水酸基の間を開裂して2,4ージクロロムコン酸を生ずる反応を触媒することを明らかにし、3,5ージクロロカテコ-ル1,2ー二原子酸素添加酵素と名付けた。基質特異性、反応動力学的定数、Nー末端アミノ酸配列の決定から、本酵素は従来報告されているクロロカテコ-ル二原子酸素添加酵素とは異なる新しい酵素であることを明らかにした。2)カテコ-ル2,3ー二原子酸素添加酵素について活性中心に存在する二価鉄の他金属による置換実験ならびにSH試薬や自殺基質による酵素の修飾実験を試み、いくつかの重要な基礎的知見を得た。 3.生体情報伝達とその異常: 手根管症候群(正中神経障害)や、肘部管症候群(尺骨神経障害)などの末梢神経障害において、痺れ感を訴える患者は多いが、その異常感覚には、どのような種類の神経線維が関与しているのか不明な点が多い。また、痺れという感覚を、臨床の場において客観的に評価することは、これまで困難であった。そこで痺れを始めとして、手指の異常感覚には、どのような種類の神経線維が関与しているのかを明らかにする為に、また、異常感覚を客観的に評価する為に、微小電極法による知覚神経線維の活動電位を測定をした。これまでの研究成果では、手根管症候群における痺れ感には、数種類の大径有髄線維の異常な自発活動が関与していることが示唆された。また微小電極法は、知覚神経の活動と、自覚症状である痺れ感とを対比するのに有用と考えられた。
|