研究課題/領域番号 |
03045029
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
椹木 亨 大阪大学, 工学部, 教授 (60028975)
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研究分担者 |
SEREE Chanyo Chulalongkorn大学, 工学部, 助手
SURAVUTH Pra Chulalongkorn大学, 工学部, 助教授
SUTAT Weesak Asian Institute of Technology, 水資源工学科, 助教授
SUCHARIT Koo Chulalongkorn大学, 工学部, 助教授
小野 正順 大阪大学, 工学部, 助手 (80214188)
青木 伸一 豊橋技術科学大学, 建設工学系, 助教授 (60159283)
出口 一郎 大阪大学, 工学部, 助教授 (00029323)
SURAVUTH pratishthananda Chulalongkorn University, Associate Professor
SUCHARIT koontanakuluvon Chulalongkorn University, Associate Professor
SUCHAIT Koon Chulalongkorn大学, 工学部, 助教授
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 航路埋没 / 非平衡状態の浮遊砂濃度 / 移流拡散方程式 / バンコック港航路 / 風と河川流量の季節変動 / 河川流出土砂濃度の季節変動 / 航路の維持浚渫量 / 航路埋没速度 / 流速と濁度の時間変動 / 港内係留船の動揺 / 航路埋没対策 / 副断面工法 / 漂砂の非平衝性 / 潮流計算 / 埋没形状の季節変動 |
研究概要 |
1991年度に、椹木・出口は航路に直行する波と流れによる航路埋没に関する2次元実験を行い、航路埋没には、水深急変部で顕著になる漂砂移動の非平衡性が重要な役割を果たすことを明らかにし、この非平衡性を緩和する埋没対策工法として航路の副断面化を提案した。小野は、このような非平衡状態の浮遊漂砂濃度を予測する手法として、スプリット-オペレーターアプローチを用いた移流拡散方程式の高精度数値計算法を開発し、上記椹木らの実験で得られた非平衡状態の浮遊砂濃度の再現計算を行うことによってその妥当性を検証した。さらに、出口・小野は、現地スケールの航路を想定し、移流拡散方程式の高精度数値計算法及び断面平均濃度に関する移流分散方程式の数値計算法に基づき、航路内の堆砂量予測を行い、両者の計算方法の比較検討を行った。Sucharit・Sutatは、チャオプラヤ河河口に位置する長さ約18Kmに及ぶバンコック港航路の1989年から1991年における定期的な測深及び浚渫資料及び航路埋没の原因となる河口流出土砂量とその外力となる流量の資料を入手、整理しその結果に基づき、年間を通じての河口流出特性(ハイドログラフ)、流出流速と流出土砂濃度の関係を明らかにした。 1992年度には、椹木は、前年度入手したバンコック港航路周辺の測深資料及び浚渫量の時系列資料に基づき、経験的固有関数を用いた解析を行い、航路上流部は河口流出土砂の影響を、下流部は波浪と潮流の影響を、また、中流部は、流出土砂と波浪の両方の影響を強く受けることを明らかにした。また、Sucharitらは、雨期期間中の5月及び8月にチャオプラヤ河河口(バンコック航路上流部)において河口流出流速及び流送土砂濃度の実測を行い、雨期における流出土砂量の推定を行った。なお、8月の現地実測には、出口・小野も参加した。 1993年度は、波浪とそれによって発生する海浜流が航路埋没に及ぼす影響について数値的な検討を加えた。まず、Sucharitらは、チャオプラヤ河付近で実測された1990年から199年の風資料に基づいてSMB法による風波の推算を行い、年間を通じての風波の発生頻度を求めた。このとき、1980年代にパイロットステーション(バンコック航路湾曲部に位置する)における波浪実測資料を用いて推算波高のキャリブレーションを行った。 椹木・Sucharitらは、得られた波浪発生頻度から、バンコック港航路周辺の地形変化に大きな影響を持つと考えられる波浪条件の出現頻度の算出を行った。その結果、航路埋没に大きな影響を持つと考えられる波向きSの波浪は、SWモンスーン時期に数週間発生し、さらに、その中でも波高1.0m以上の有意な波高を持つ波浪の継続時間は、2〜3日程度であることが明らかとなった。 出口・小野らは、上記波浪(波向きS,波高1m及び1.5m,周期5秒)が来襲した場合のバンコック港航路周辺の波浪変形及び海浜流流況の計算を行った。得られた波浪場及び海浜流場を外力として浮遊砂濃度の空間分布及び浮遊砂量フラックスの計算を行い、その結果に基づいて航路内の水深変化量の推定を行った。波変形計算は、エネルギーフラックスの保存則を格子点法を用いて行い、海浜流は断面・時間平均されたN-S方程式をADI法で解くことによって求めた。また、浮遊砂濃度は、断面・時間平均された移流分散方程式をADI法によって計算した。その結果、航路内の堆積量は、波高が小さいほど大きく、主として航路側壁の法面で大きな変化が生じることがわかった。 通常、平衡状態にある海底では、流体運動による底質砂の巻上げ量と沈降量が釣り合っている。しかしながら、波高が大きい程底面からの巻き上げ量が増加し、堆積量が減少するものと考えられる。しかし、波と海浜流による水深変化量は、前年度に明らかにした河口流出土砂量あるいは、波と潮流による堆積量に比較して、オーターが1つ小さいこともわかった。
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