研究課題/領域番号 |
03045031
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
新 勝光 (1993) 神戸大学, 理学部, 助教授 (50071402)
橋本 徹 (1991-1992) 神戸大学, 理学部, 教授 (60087616)
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研究分担者 |
KLEINIG Hans AlbertーLudwigs大学, Biol. Inst. II, 教授
SCHOPFER Pet AlbertーLudwigs大学, Biol. Inst. II, 教授
HAHLBROCK Kl AlbertーLudwigs大学, Biol. Inst. II, 教授
SCHAFER Eber AlbertーLudwigs大学, Biol. Inst. II, 教授
WELLMANN Eck AlbertーLudwigs大学, Biol. Inst. II, 教授
MOHR Hans AlbertーLudwigs大学, Biol. Inst. II, 教授
七條 千津子 神戸大学, 理学部, 助手 (70226132)
鶴見 誠二 神戸大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (80144608)
橋本 徹 神戸大学, 理学部, 教授 (60087616)
新 勝光 神戸大学, 理学部, 助教授 (50071402)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 異常成長 / カリウムチャンネル / 紫外吸収物質 / 紫外線防御機構(植物) / 紫外B光受容体 / チミン二量体とイムノアッセイ / 光回復酵素 / フラボノイド(アントシアニン) / 赤色光信号 / フラボノイド / アントシアニン / 学生の成績評価 / UV-B / cDNA / mRNA / フィトクロム / チミン二量体 / ホウキモロコシ / コイル形成 / 異状成長 / 光回復 / UVーB / UVーA |
研究概要 |
本研究は平成2年3月30日締結の神戸大学理学部(以下神大)とアルバ-ト・ルディヴィクス大学生物学部(以下ア大学)における教育及び学術上の協力協定に基づき3か年間に亘り植物の紫外線防御機構について行なわれたものである。この間神大側の研究代表者橋本 徹教授の定年退官により新 勝光助教授が代表者となり、またア大側でもHans Mohr教授の転出によりEckard Wellmann教授が代表者となったが、研究は支障無く継続され所定の成果を挙げて終結した。 神大からは平成3年橋本教授(3か月)と鶴見助手(4か月)、同4年橋本教授(3か月)、同5年新助教授(1か月)と研究生・先浜博士(1か月)がそれぞれア大に出張し、ア大からは平成4年Wellmann教授が神大に2週間滞在し、それぞれ紫外線の植物作用、植物光形態形成、植物の紫外線防御機構、地球上の紫外線環境などについて学術講演並びに研究を行なった。学術講演は次の通りである。 平成3年7月、橋本 徹、ア大において、“Light-induced growth inhibition and the metabolism of novel growth inhibitors in peas". 平成4年9月、Eckard Wellmann,神大において、“UV-B environment on Earth and the UV-B protection mechanisms in plants". 平成4年11月、橋本 徹、ア大において、“Storage of red light signal other than phytochrome Pfr for anthocyanin synthesis in sorghum". 研究成果としては、(1)アントシアニン及び他のフラボノイドは紫外B領域に強い吸収帯をもつが、紫外B光及び赤色光との共同作用に依り植物の表皮組織で形成され、紫外B光除去フィルターとして作用し、植物組織を有害な紫外光から守っていることを確認した(Wellmannら)。(2)フラボノイド生成誘導には紫外光によるDNAの損傷ではなくて、290nmに極大吸収をもつ紫外B光受容体の光吸収が関与することを作用スペクトルによって確証した(橋本ら1991,1993)。(3)紫外B光によって野性の紅色酵母Rhodotorula minutaが285nmに極大吸収をもつ物質を細胞壁より生成することを見出した。またこの酵母細胞は紫外B光の照射により可逆的にK^+を放出することを見出し、紫外B光によって駆動されるK^+チャンネルの存在を示唆した。この紫外効果の作用スペクトルは270nmに極大値を示し、DNAを標的としない紫外光作用である(橋本、秦1993,準備中)。(4)ホウキモロコシ芽生えを強い紫外B光で照射すると、第一節間がコイルを形成しながら異常成長をするが、この紫外B光反応の作用スペクトルはDNAの損傷の関与することを示唆していたが(橋本ら1985)、紫外B光によるチミン二量体生成量をチミン二量体の抗体を用いたラジオイムノアッセイ(RIA法)によって定量した結果、コイル形成の度合いはチミン二量体の生成量と密接に相関していることを確認し(鶴見ら、準備中)、紫外B光の傷害作用はDNAの損傷によることを裏付けた。(5)紫外B光の傷害作用におけるDNA損傷の重要性に鑑み、Wellmannの抗体の他、金沢大学の二階堂教授の抗体を用いてRIA法とEnzyme-linked immunofiltration assay(ELIFA法)の優劣の比較検討を行ない、目的に応じた使い分けの必要なこと、及び放射性同位元素取り扱い設備を要しない点ではELIFAが優れていることなどを明らかにした(新、先浜ら、準備中)。これら3か年に亘る研究の結果、植物の紫外B光抵抗性の研究は今後、DNA損傷を指標として、フラボノイドのフィルター効果と光回復酵素の生成や活性化の面から追及する必要性が明らかにされ、それを行なう基礎固めがなされた。なお、これらの成果は環境庁地球環境研究の紫外線環境プロジェクトに反映され、同プロジェクトの一部として平成6年度からこの研究は継続実施される予定である。
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