研究課題/領域番号 |
03045034
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
瀬戸 武司 島根大学, 教育学部, 教授 (40032502)
|
研究分担者 |
金 聲和 釜山教育大学, 副教授
盧 相〓 釜山教育大学, 副教授
李 英〓 釜山教育大学, 教授
金 象溶 釜山教育大学, 教授
鈴木 文子 島根大学, 教育学部, 講師 (40252887)
森本 直人 島根大学, 教育学部, 助教授 (70157923)
原田 環 島根大学, 教育学部, 助教授 (40228648)
有馬 毅一郎 島根大学, 教育学部, 教授 (50127479)
道重 哲男 島根大学, 教育学部, 教授 (10032583)
KIM Sung Hwa Pusan National Teachers College
ROH Sang Oh Pusan National Teachers College
LEE Young Jun Pusan National Teachers College
KIM Sang Yong Pusan National Teachers College
李 英ぢゅん 釜山教育大学, 副教授
盧 相お 釜山教育大学, 副教授
鈴木 岩弓 島根大学, 教育学部, 助教授 (50154521)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 日韓 / 相互理解教育 / 異文化理解 / 実態調査 / 教育プログラム開発 / 食文化 / 初等教育 / 視聴覚教材 / 日韓相互理解教育 / 日韓相互理解の実態 / 国際理解教育 |
研究概要 |
日韓両国の相互理解については、これまでその理解が不十分であり、幾多の問題のあることは種々の研究によってすでに指摘されてきた。しかしその具体的な解決策については、提起されていないのが現状である。そこでわれわれは従来までの研究をさらに一歩進めて、日韓両国の相互理解の不十分さや問題をもたらした原因の一端を教育の分野に探り、これを解決して相互理解を促進させる教育の基礎的理論の確立を試みるとともに、それに基づく初等・中等教育段階での具体的な教材・教育システム・教育方法の開発をめざした。 具体的には、島根大学教育学部教官と韓国・釜山教育大学教官との共同研究として、1991年から1993年の3年間に6回の合同研究会や相手国での調査研究を行ったが、その成果は以下の通りである。 1.アンケート調査法による日韓双方の青少年の「相手国理解」の実態把握 島根県松江市と韓国釜山市の双方で、小4〜大学までの各学校段階の青少年(合計2,300名余)の相手国理解の実体を、アンケート調査によって明らかにした。その結果、日本側では食文化に関する以外は韓国に関する知識・関心が低いこと、韓国側では全般的に日本に対する知識・関心が高いこと、また日韓の青少年の間に植民地支配に対する歴史的解釈において大きな意識の差異が認められることを検証した。 2.異文化理解の導入としての「食文化」調査 歴史的な解釈の差異は歴史教育の問題として研究の一部に含めなければならないと判断したが、それ以前の問題として、まず異文化に対する関心や学習意欲を高めていくことが重要であるという見解から、小学校高学年における日韓の相互理解を進める教材として「食文化」における共通性と異質性を取り上げることとした。そのために、日韓の小学校5年生を対象として児童の食文化の実体調査を行うとともに、VTR教材開発のための諸調査・取材を行った。この結果として、(1)韓国では家庭での食生活において伝統的な食文化を保持していく傾向があり、日本では和洋折衷型の食文化への変化があること、(2)日韓双方において児童の食生活はフライドチキンやハンバーガ-、ピザなどファーストフードを好む傾向にあること、(3)韓国では食事の際に、児童は健康面を重視した注意を受けるのに対し、日本では食事の姿勢やマナーを重視した注意を受けていること、(4)「のり巻き」「豆腐」「ワカメ汁」「うどん」など共通の食べ物があるが、その味覚に関しては、異質なものがあり、これらを通して異文化の理解に迫りうる有効な教材開発が可能なことを明らかにした。 3.VTR教材の開発と実験授業の実施 小学校高学年を対象とした実験用VTR教材「韓国の食文化」および「日本の食文化」を制作し、VTR視聴を中心とした実験授業を行った。日本側で実施した実験授業では映像を中心としたが、韓国側では日本食の試食体験を取り込んだ。異文化に対する誤解や摩擦が同質という幻想のなかにおける異質性に顕著におこるとすれば、味覚を直接体験することで、児童たちの異文化理解にも、大きな影響を与えると思えたからである。この2つの実験授業の結果から、日本と韓国の食べ物が似ているという映像からの印象と、実際の試食による味覚の差異の体験とのギャップが、日本を同質なものととらえていた児童たちに今一歩、その異質性と同質性を明確に意識化させ異文化理解学習への関心・意欲を高めるのに有効であること、また比較の視点、解釈の合理性、意味づけの根拠などが自文化の範疇の中から派生する限り、真の異文化理解は成立しにくいことなどが、明らかになった。 4.実験授業に基づく結果からの相互理解教育プログラム開発 上記のあらゆる調査・実験授業などの成果を活かし、小学校高学年での韓国理解教育プログラムの開発と提言を行った。研究の進捗状況の遅れから、当初の目的である日韓相互理解という意味では韓国側で実施する日本理解教育プログラムの開発と提言が、未解決の課題として残されてはいるが、この実験授業等を通して、実験校となった島根大学教育学部附属小学校と釜山教育大学附属国民学校の児童たちの、それぞれ相手国の文化に対する関心・意欲は非常に高まり、異文化理解教育の有効性が確認された。
|