研究課題/領域番号 |
03151023
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
喜納 勇 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60010211)
|
研究分担者 |
服部 隆則 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70079721)
渡辺 英伸 新潟大学, 医学部, 教授 (70037381)
田原 栄一 広島大学, 医学部, 教授 (00033986)
寺田 雅昭 国立がんセンター研究所, 副所長 (10124421)
中村 恭一 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (70110492)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
1991年度: 15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
|
キーワード | 胃癌 / 印環細胞癌 / 癌遺伝子 / 癌細胞株 / 実験発癌 / P53 / 点突然変異 / alle loss |
研究概要 |
ヒト胃癌における癌抑制遺伝子p53の変化について次のことがわかった。17番染色体P53領域の欠失は、組織型のいかを問わず、過半数に認められた。また、免疫組織化学的検索でもP53蛋白の過剰発現は約1/3の症例に認められた。胃腺腫には全く認められなかった。胃癌組織からp53遺伝子の塩基配列を検索すると、16症例中9例に点突然変異を認めた。これはA:Tにおける変異が高率で、大腸癌の変異とやや異なっていた。 ヒト印環細胞癌はその初期では層構造を形成し、DNAはdiploid patternである。約2cm位の大きさになるとclonal evolutionがおこり、aneuploidを呈することが多くなり、aneuploid癌細胞がsm以下への深部浸潤傾向をより有することがわかった。一般に胃癌はhigh ploidy群の方がlow ploidy群より細胞分裂指数が高く、リンパ節転移率も高かった。 イヌ胃前庭部を空置することによりENNG投与により胃前庭部に分化型癌の発生を認めた。これを前庭部のpH、ガストリン細胞数、胆汁の有無との関連について検討した結果、pHが高くガストリン細胞数の多い粘膜に分化癌が発生することがわかった。 他の癌と同様に、胃癌でもそれに関連する染色体の変化や癌遺伝子、癌抑制遺伝子の変化の知識が集積されつつある。しかし、多くは進行癌の研究であるため、その発生初期に何が一次的に変化して癌化するのかを調べる必要がある。変動癌である胃分化型癌が高pHの環境下で発生したという実験デ-タ-を得た。ヒトでは腸上皮化生と関連しているとされている分化型癌が更に胃内の環境因子によってより発生しやすくなっていることを示唆する興味深い結果である。
|