研究課題/領域番号 |
03151044
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80093293)
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研究分担者 |
杉本 芳一 (財)癌研究会癌化学療法センター, 研究員 (10179161)
武市 紀年 北海道大学, 医学部, 助教授 (40002133)
村松 喬 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00030891)
竹市 雅俊 京都大学, 理学部, 教授 (00025454)
谷口 俊一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60117166)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
17,600千円 (直接経費: 17,600千円)
1991年度: 17,600千円 (直接経費: 17,600千円)
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キーワード | 転移 / 細胞接着因子 / homing receptor / 運動因子 / src関連遺伝子 / アクチン / fos遺伝子 / 遺伝的不安定性 |
研究概要 |
過去3年の成果として、転移にかかわる因子のいくつかについて相互の関連が明らかになった。先ず、転移の初期過程に関与すると思われる細胞接着因子カドヘリンについては、それと細胞内で結合するCAP102蛋白の遺伝子がクロ-ニングされ、またsrcによる癌化、fosによる転移性の上昇に伴うCAP102リン酸化と接着機能の低下が示された(竹市、永渕)。膜受容体erbB2遺伝子の発現は癌の悪性度と相関するが、エストロゲンE2はこの蛋白に結合し、自己リン酸化を促進することが明らかとなった(松田)。src導入で転移性の上昇するマウス変異細胞株は、新たに同定された膜受容体のリン酸化に関する変異体であることがわかった(榎本)。原発巣からの離脱にかかわると思われる細胞運動因子リセプタ-が同定され、また細胞外マトリックス受容体の結合機構が明らかになった(渡辺、長井)。膜蛋白の機能は細胞骨格と密接に関連するが、転移抑制作用をもつβmアクチンのアクチンケ-ブル形成への関与と、転移能上昇に伴う蛋白合成に関与するEF1αレベルの上昇が明らかになった(谷口)。血小板凝集には3つの機構があるが、腫瘍細胞の血流中での塞栓形成には41kdの膜蛋白が関与することが示された(杉本)。組織特異的転移に関しては、homing receptorであるセレクチンに結合すると思われる61kdの糖鎖抗原が同定された(村松)。細胞の挙動を直接的に規定するこれらの因子の他に、癌細胞の遺伝的不安定性と、それを促進する腫瘤微小環境腫の役割が明らかにされた(丹羽、横路、武市)。臨床面ではヒト悪性黒色腫について表面抗原に対するアンチイデイオタイプ抗体による治療が試みられた(三島)。以上、これまで明確でなかった転移に関与する諸因子の相互の関連、および転移の各段階との関連が位置づけ得る状況となってきた。また、癌細胞の個々の行動を支配する因子以外に、癌細胞の内的あるいは炎症巣での変異しやすさが重要な意味を持つことが示された。
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