研究分担者 |
杉本 芳一 癌研究会癌化学療法センター, 基礎研究部, 研究員 (10179161)
西條 長宏 国立がんセンター研究所, 薬効試験部, 部長 (00215526)
植田 和光 京都大学, 農学部, 助手 (10151789)
稲葉 実 癌研究会癌化学療法センター, 基礎研究部, 主任研究員 (60085636)
石田 良司 愛知がんセンター研究所, 生化学部, 主任研究員 (50150214)
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研究概要 |
1.制癌剤耐性遺伝子群に関して,我々は(1)多剤耐性遺伝子MDR1を制御するプロモ-タ-及びエンハンサ-結合蛋白について解析を進めた。さらに同遺伝子の発現は環境ストレスによって促進されるSOS遺伝子であることを提示した。他方,ヒト多剤耐性細胞に発現している85kDa蛋白の遺伝子構造を決定した。(2)乳癌,白血病,卵巣癌患者において再発した症例において,MDR1 mRNAの発現陽性率が治療前に較べて高いことがRTーPCR法を用いて観察された。他方,白血病の再発例においてNーras点突然変異の上昇もみられた。(3)5ーフルオロウラシル耐性のヒト胃癌や結腸癌細胞においてウリジンキナ-ゼ欠損をエトポシド耐性のヒト癌細胞においてDNAトポイソメラ-ゼII遺伝子発現の低下や細胞内蓄積が見出された。他方,シスプラチン耐性と関連する細胞膜局在の輸送蛋白及びDNA障害修復酵素の同定を進めた。2.耐性克服剤の開発に関して,(1)DNAと切断複合体を形成せずにトポイソメラ-ゼIIを阻害する新しいビペラジン誘導体ICRー193及びICRFー154は多剤耐性細胞に対して交差耐性を示さなかった。(2)Pー糖蛋白依存性の多剤耐性に対して交差耐性を示さないで優れた抗腫瘍活性を示すアンスラサイクリン抗生物質であるMX2,FAD104及びFTーADMを見出した。(3)Pー糖蛋白を標的とする新イソプレノイド剤はphasel研究において乳癌再発転移の症例でアドリアマイシンとの併用で改善した効果を示した。
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