研究課題/領域番号 |
03151060
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
近藤 宗平 近畿大学, 原子力研究所, 教授 (20028278)
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研究分担者 |
高辻 俊宏 長崎大学, アイサトープ総合センター, 講師 (70163219)
福永 昭広 大阪市立大学, 医学部, 講師 (90167619)
野村 大成 大阪大学, 医学部, 教授 (90089871)
井上 喜博 愛知県がんセンター研究所, 研究員 (90201938)
藤堂 剛 大阪大学, 医学部, 助手 (90163948)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1991年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 劣性変異gl^4 / 染色体異常 / コピアmRNA / 遺伝子の発現異常 / 温度感受性脳腫瘍変異 / 脳腫瘍の退化 / コピア遺伝子の発現誘導 |
研究概要 |
ショウジョウバエの劣性変異gl^4のホモ接合幼虫(gl^4/gl^4)の3令後期の脳は、100%肥大化し腫瘍になる。この脳の断片は、正常成虫の腹空内に移植すると、10数日で宿主を殺す。その前に移植腫瘍を摘出し、正常成虫へ移植し継代培養を続けると、染色体異常も幼虫宿主を殺す力も経時的に増加する。このがん進行にともなって、コピア遺伝子の発現異常がどう変化するかを調べた。コピアmRNAの転写総量は、移植前に比べ、G1(1代移植培養後)で6ー9倍、G13で10ー15倍、G100で29倍に増えた。転写活性は、移植前に比べ、G1で4.6倍に、G100で26倍に増えた。安定性は、移植前(半減期約2hr)に比べ、G1で1ー1.5倍、G100で約4倍に増えた。G3のgl/gl幼虫にX線照射すると、3ー20Gyの範囲で、コピア遺伝子の発現誘導(コピアmRNA量の増加)が起こった。 今年度は、待望の温度感受性脳腫瘍変異株1(3)mbt^<tsー1>を用いて、E.Gateff教授と共同研究することができた。この株の幼虫は、低温(22度)で飼うと正常に羽化したが、高温(29度)で飼うと、3令後期に脳が肥大して死亡した。死亡前にその脳を摘出し、断片を正常雌成虫の腹空に移植すると、宿主を高温で飼育した場合、移植後10日前後で、腹部が肥大し、解剖してみると、腫瘍細胞が著増していて、卵巣などへ浸潤しており、全例死亡寸前の症状を示した。染色体異常は、gl/gl腫瘍の一代移植倍養後と同程度に増加していた。これに反して、低温飼育した場合は、腫瘍移植後25ー49日間に死亡した例も、57日まで生存した例も、腹部の肥大はなかった。全例に、脳腫瘍の退化が起こったと判断した。 結論:がん化の進展は、遺伝子の発現異常とDNA再編成(染色体異常)の続発を伴う。それは、細胞外環境変化と細胞内変化に由来する。
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