研究課題/領域番号 |
03151073
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
藤木 博太 国立がんセンター研究所, がん予防研究部, 部長 (60124426)
|
研究分担者 |
上村 大輔 静岡大学, 教養部, 助教授 (00022731)
深見 泰夫 神戸大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (00156746)
橋本 祐一 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (90164798)
野瀬 清 東京大学医科学研究所, 癌細胞, 助教授 (70012747)
大内 和雄 東北大学薬学部, 病態生化学, 教授 (20006357)
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
1991年度: 20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
|
キーワード | プロティンフォスファタ-ゼ / オカダ酸 / オカダ酸クラス発がんプロモ-タ- / アラキドン酸 / JE遺伝子 / ミクロチスチン / TRE / プロテインキナ-ゼC |
研究概要 |
オカダ酸はプロテインフォスファタ-ゼ1と2Aの活性を阻害して作用する、新しい作用機構をもつ発がんプロモ-タ-である。オカダ酸と同様にプロテインフォスファタ-ゼ活性の阻害作用をもつオカダ酸クラス化合物について検討を進めた。アオコに含まれるミクロチスチンは、強力な肝発がんプロモ-タ-であることが証明された。ジエチルニトロサミンでイニシエ-トしたラットに、週2回、ミクロチスチンLRを腹腔内に投与、3週で肝部分切除を加え、8週で肝のGSTーP陽性巣を検討した。コントロ-ル群に比較し、著名なGSTーP陽性巣の増加が認められた。したがって、オカダ酸クラス発がんプロモ-タ-の作用機構は、広く、いろいろな臓器の発がんに適応できることが示された。NIH3T3細胞に、活性型ras遺伝子を導入した細胞とNIH3T3細胞は発がんプロモ-タ-に対し、異なった反応を示した。導入細胞ではアラキドン酸の遊離は低いが、プロスタグランジンE_2の産生量は非常に高いことが見出された。発がんプロモ-タ-に対し導入細胞は、シクロオキシゲナ-ゼの活性が異常に亢進することを示唆した。この結果は、発がんプロモ-タ-の作用機構の解明に非常に重要である。又、JE遺伝子の上流に結合する因子は、TPA処理により活性化された。結合するDNAの塩基配列を決定すると、TTACTCAであり、TREとよく類似していた。TPAの受容体はプロテインキナ-ゼCでなく、それ自身が発がんプロモ-タ-の結合により機能修飾を受ける転写制御因子であることの仮説の基に研究を進めた。現在、6種類の結合蛋白質(TBP)を見出した。その一つTBPー2は細胞中で、熱ショック蛋白質、hsp90と複合体を形成して存在し、発がんプロモ-タ-と結合すると、速やかに核内に移行することが見出された。発がんプロモ-タ-の作用機構は予想以上に複雑である。
|