研究課題/領域番号 |
03152066
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八木 孝司 京都大学, 医学部, 助教授 (80182301)
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研究分担者 |
巽 純子 京都大学, 医学部, 助手 (80128222)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1991年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 高発がん性遺伝病 / DNA修復 / 突然変異 / 色素性乾皮症 / 小脳性運動失調症 / 紫外線 / ガンマ線 |
研究概要 |
ヒト正常細胞および色素性乾皮症(XP)A,C,F群細胞で生ずる自然突然変異の種類をシャトルベクタ-pZ189を用いて調べた。いずれの細胞においても50%以上は欠失変異であった。残りは塩基対置換変異であり、その中でトランスバ-ジョンの割合が紫外線誘発突然変異の場合と比べて、有意に高かった。紫外線誘発突然変異の場合はいずれの細胞においてもG:C→A:Tトランジションの割合が高いが、XP細胞においてはそれがより有意に高かった。マウス細胞における紫外線誘発突然変異の種類をシャトルベクタ-pYZ289を用いて調べ、ヒト正常およびXP細胞の場合と比較した。塩基対置換変異のうち91%はG:C→A:Tトランジションであり、これはヒトA群XP細胞における紫外線誘発変異の割合に近く、ヒト正常細胞の場合より有意に高かった。これは分子レベルでも質的にマウスのDNA修復は正常ヒトと異なることを示す。 ヒト正常細胞および小脳性運動失調症(AT)患者細胞におけるガンマ線誘発突然変異の頻度をpZ189を用いて調べたが、20グレイ照射までは両者に差は見られなかった。DNA二本鎖切断の修復をヒト正常細胞とAT細胞で比較するため、制限酵素AvaIで1カ所切断されるシャトルベクタ-pZ189Avaを作成し、細胞内で起こるDNA鎖再結合の割合と正確さを調べた。両者において、切断されたpZ189Avaが再結合される割合に差がなかったが、再結合の正確さは正常細胞の方が有意に高かった。誤った再結合部の塩基配列変化を調べると、AT細胞においては切断末端部付近の数〜数十塩基の欠失を有するものが大部分であったが、正常細胞ではそれらは少なく、大きな挿入を有するものの割合が高かった。このことはAT細胞のガンマ線高感受性の機構として、DNA二本鎖切断の再結合修復の正確度が低いことがその原因の1つである可能性を示す。
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