研究課題/領域番号 |
03152106
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
秋山 伸一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60117413)
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研究分担者 |
古川 龍彦 鹿児島大学, 医学部, 助手 (40219100)
住澤 知之 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90206582)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1991年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 不定型多剤耐性 / セファランチン / PAKー104P / 耐性克服 |
研究概要 |
P糖タンパク質の関与しない多剤耐性の機構を解明するために、まず最初にP糖タンパク質の発現していない多剤耐性細胞株の分離を行った。方法は、抗癌剤感受性のヒトKB細胞を親細胞として、P糖タンパク質による多剤耐性を克服するような活性を持つベラパミルまたはセファランチンといった薬剤の存在下に、アドリアマイシンの濃度を段階的に上昇させることにより行った。その結果アドリアマイシンの濃度が100ng/mlの時点でいずれの細胞も衰弱してしまったので、更にフォルボ-ルエステルの一種であるメゼレインを添加したところ、ベラパミル存在下で耐性度の上昇した細胞にはP糖タンパク質の発現がみられた。セファランチン1μg/mlとメゼレイン100nM存在下でアドリアマイシンの濃度を上昇させていった細胞は、現在親KB細胞に比べ約70倍アドリアマイシン耐性となっているが、P糖タンパク質に対するモノクロ-ナル抗体C219を用いたイムノブロッティングではP糖タンパク質は検出できなかった。そこでこのCーA500細胞にはP糖タンパク質の発現はないものと考え、次に他の薬剤に対する交差耐性を調べたところビンクリスチン、VPー16、アクチノマイシンD及びコルヒチンでは明かな耐性度の上昇がみられたが、シスプラチンや5FUではほとんど耐性度は上昇していなかった。また、アドリアマイシン及びビンクリスチンのCーA500細胞内濃度をラジオアイソト-プ標識されたそれぞれの薬剤を用いて調べたところ、いずれも親KB細胞に比べて著しく減少していた。更にこのP糖タンパク質の関与しないアドリアマイシン耐性は、P糖タンパク質の機能を阻害する薬剤として我々の研究室において見いだされたジヒドロピリジン誘導体のPAKー104Pやベラパミルにより、かなりのところまで戻すことが出来ることも見いだしている。今後この細胞の耐性の分子機構を解明していくつもりである。
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