研究課題/領域番号 |
03152149
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立小児病院 |
研究代表者 |
谷村 雅子 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児生態研究部, 研究員 (90014191)
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研究分担者 |
小林 登 国立小児病院, 院長 (50009916)
松井 一郎 国立小児病院, 小児医療研究センター・小児生態研究部, 部長 (40157227)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 好発がん性遺伝子性疾患 / 小児がん / 神経線維腫症 / 年令分布 |
研究概要 |
好発癌性遺伝性疾患の小児期のがん発生状況の実態を明かにし、各遺伝子の、がん発生年齢分布の特徴、小児期から成人期に至る過程でのがん発生における関与の相違および最年少年齢を検討するため、日本小児がん全国登録26084例(1969年より1989年診断例)中、成人期の好発癌性遺伝性疾患を合併する症例を検索した。 大腸腺腫症の2例と神経腺維腫症57例(世界最大数)が検索された。 大腸腺腫症の乳幼児期に大腸以外の臓器がんの発生が高まる可能性を指摘する報告があるが、本調査の10歳と11歳の2例はいずれも直腸がんであった。また、報告されている大腸腺腫症の大腸がん診断年齢分布と較べ、2症例は最年少であった。本症においては学童期からがん発生の可能性を留意する必要が示された。 小児がん登録例中の神経線維腫症頻度は0.22%で、一般集団中の頻度0.03%より高く、本症は小児期においてもがんの発生を高めることが示唆された。神経系腫瘍(神経膠腫17例0.72%と末梢神経悪性腫瘍14例0.48%)の他、一般小児に好発する白血病12例0.1%および横紋筋肉腫8例1.36%に集中していた。一方、剖検輯報記載例約800,000例中、本症を合併したがん症例531例が目の子で検索された。がん発生年齢分布は40歳代および60歳代をピ-クとする2峰性を示した。前者では神経系悪性腫瘍が主で、後者では一般成人に好発する上皮性がんを主とし一般成人より若年発症の傾向がみられた。 以上の様に、大腸腺腫症と異なって、神経線維腫症では年齢によって好発する悪性腫瘍の部位・組織型が異なり、各年齢層で好発するがんは一般集団でもその年齢層で好発するがんであった。本症遺伝子が機能・発現する臓器・時期の解明に重要な示唆を与えると共に、本症患者の各年齢層における癌対策に有用な資料となると考えられる。
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