研究課題/領域番号 |
03201102
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤田 睦博 北海道大学, 工学部, 教授 (80001139)
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研究分担者 |
長谷川 和義 北海道大学, 工学部, 助手 (70001328)
山田 正 中央大学, 理工学部, 助教授 (80111665)
山口 甲 北海学園大学, 工学部, 教授 (70239903)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1991年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 蛇行 / 流路変動 / 土砂流出 / 河床低下 / 河床波 / 砂州 / 捷水路 / 護岸工 |
研究概要 |
石狩流域の開発にとって、捷水路工の実施はきわめて大きな意味をもっている。現在までに本川だけでも29の捷水路が完成している。その結果、(1)流速増加による洪水流下能力の増大、(2)河床低下による洪水水位の低下、(3)河床低下による沖積地地下水位の低下、(4)弯曲部解消による流路平面変動の抑制、(5)勾配増加による幅・水深比の減少とそれによる砂州波高増大および複列化の鎮静、など河川工学的にみて非常に有効な効果がもたらされた。これらがあいまって低湿地開発を可能にし成功させてきたものと言えよう。 捷水路工法は世界の各地でも実施されているが、必ずしも成功するわけでなく失敗例も少なくない。Mississippi川 Green ville地域における捷水路工の例では、3つの捷水路が連続し流路延長が1/4にまで短縮しているが、捷水路下流部における堆積が激しく、中州の発生・分流路形成・川幅増加が止まず、特に航路維持が問題になっている。護岸・水制の群れが流路維持の苦労を物語っている。これに似た例が石狩川でもないわけではない。雨龍川合流部において施工された江部乙第2・六戸島捷水路は、自然拡幅を期待して掘られた50m幅水路が洪水のたびに浸食され、広がった河道内に複列砂州が発生して深刻な流路変動をまねき、維持安定に多くの費用を必要とした。 石狩川捷水路が全体として安定し、成功例として高い評価を受けることになった要因、逆に通水後の流路変動が激しく成功にいたらなかった事例の要因はどこにあるのであろうか。上述の例で共通しているのは、捷水路部に過剰土砂の堆積が発生していることである。堆積によって河床が高まり、局所河床勾配が減少して幅/水深比が大きくなるとさまざまな流路の不安定化が起こる。すなわち、(1)砂州の複列化・みお筋の変動による拡幅の激化、(2)流路弯曲時の浸食速度の増大化、(2)横断面の動的平衡(緩勾配ほど幅/水深比減少)の困難化、(4)流路の分裂化、などである。過剰土砂は、(1)捷水路による局所的急勾配化がもたらすことがあるほか、(2)支川流入、(3)河岸堆積物からの横流入、などによりもたらされる。Mississippiの例は(1)にもとづくものであり、江部乙の例は(2)にもとづくものと考えられる。
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