研究分担者 |
宮村 忠 関東学院大学, 工学部, 教授 (60157675)
虫明 功臣 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50011060)
原田 憲一 山形大学, 理学部, 助教授 (90134147)
笹本 正治 信州大学, 文学部, 助教授 (70111820)
五十嵐 之雄 東北学院大学, 文学部, 教授 (00048737)
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研究概要 |
洪水,高潮・津波,地震,地質の4つの災害について,災害文化の(1)収集,(2)地域性・歴史性の抽出,(3)変貌と限界,(4)定量的評価方法の研究を行なっている. 前年度に引き続き,災害文化の収集が行なわれた. 地域性・歴史性の検討の為の資料が整えられつつある.洪水に対しては,災害文化の一つの表れでもある水防演習の地域性が,南は筑後川から北は石狩川に及ぶ10地点に関して調査された.津波については,常襲地帯である高知県沿岸と三陸地方が地域性検討の対象として選ばれ,広範囲なアンケ-ト調査や過去の調査資料の収集が行なわれている. 変貌と限界の検討のため,20年程度の時間経過による災害観の変化を知り得る資料が収集された. 定量的評価方法も始まっている.比較災害論研究としての基本的な枠組みが示され,その具体的例として我が国の天変地異と中世ヨ-ロッパのペストとが,災害環境と疫病環境のアナロジ-に於て,同じレベルの自然災害であることが示された.災害事例としては洪水と津波とがある.洪水では,鶴見川流域の浸水被害と内水対策の関係が調査された.浸水頻度の高い地区での聞き取り調査により,居住年数,住家の位置などによる意識の相違を整理しており,これと浸水実績との結びつきを明らかにすることが今後の課題である.津波では,津波襲来時の音響について考察された.この音を避難開始の合図とすることが,昭和8年三陸大津波後に推奨されたこともあった.音発生と数値計増結果との比較,津波強度の定義,津波形態の分類などが行なわれ,異常音響の科学的根拠が明確にされた.
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