研究概要 |
本研究の主目的は現有地域地震防災計画のうち,特に発災対応に注目したオペレ-ションシステムモデルの基本形の構築におかれた.この目的達成のため,以下のいくつかの課題に問題を絞り研究を実施した. (i)現有の地域地震防災計画に関する分析:地震発生直後の緊急・応急対策に重点をおいて,対象事項・重要性・実行可能性などを,地震動強さ・被災状況および地域がもつ防災対策資源量(人,物)との関係において分析し,問題点の抽出を進めた. (ii)オペレ-ショナルモデルの構成:「発災対応オペレ-ションシステムモデル」の基本構成を行なった.モデルに関係する数理計画手法は,LP法・AHP法・ISM法などである. (iii)被災状況の合理的調査開発に関する考察:地震直後の早期に如何に正確に被災状況を把握できるかが,事後の緊急対応の成否を決定する最重要事項であるとの観点からサンプル調査法の改訂・導入にもとづく基本考察を進めた. すなわち,本研究は災害低減への合理性ある(長・短期の)防災対策計画のうち,特に地震発生直後の緊急対策の在り方について注目し,現有の対策計画を分析し,問題点を抽出し,これらの中から特に重要かつ未解決にあると思われる課題を抽出し,集中的に考察したものであって,災害科学の成果を地域の地震時危機管理システムに導入するための橋渡し的研究として寄与するところ少なからざるものがある,と確信する.
|