研究分担者 |
土居 晴洋 広島大学, 文学部, 助手 (40197992)
寒川 旭 通産省, 工業技術院・地質調査所・近畿中部地質センター, 主任研究官
千田 昇 大分大学, 教育学部, 教授 (90111236)
松田 時彦 東京大学, 地震研究所, 教授 (70012896)
岡田 篤正 愛知県立大学, 文学部, 教授 (90086174)
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研究概要 |
本研究では,活断層が高密度に分布する大都市圏のうち,仙台地区・東京地区・京阪神地区・北九州地区の主要な活断層を対象として,それらの詳細位置を大縮尺地形図に示し,都市直下活断層の危険度評価の基礎的資料を作成することを試みた.主な結果は以下のとおりである. 1.大縮尺地形図に活断層の正確な位置を示す場合,活断層のタイプや表層地質の違いによって,断層変位地形が異なるので,精密な活断層図に盛り込む情報とその表現法について前年度に引き続き検討した.仙台地区の長町ー利府線と東京地区の立川断層は,いずれも縦ずれ型の断層で,断層変位地形は崖幅が広い撓曲崖として認められる.したがって,大縮尺地形図上にその位置を1本の細線で表現することは因難であるので,撓曲崖の幅と斜面の傾斜を表示した.これに対して,京阪神(六甲山地南麓)の活断層は,主として横ずれ断層で明瞭な崖線が,縮尺1/10,000地形図上でも十分高い精度で表現された. 2.活断層の最新活動時期を明らかにするために,古地震に関する考古学的資料や古文書を引き続き集め整理した.このうち,全国の起震断層の約半数が集中する京阪神地区では,遺跡調査によって大地震の発生を示す液状化現象や断層の露頭が発見された.有馬ー高槻構造線の伏見地震の可能性が高いことが指摘された.しかし,中央構造線(徳島県)のトレンチ調査によって,本活断層の最新活動が,その時期から推定してこの伏見地震の可能性もあると指摘され,さらに今後の検討課題とされた. 3.主要活断層沿いの土地利用について検討した.その結果,大都市圏では,近年都市周辺部の著しい発展に伴って,活断層の直上に大規検や宅地,学校,病院などの公共施設が急増していることが指摘された.特に,土地高騰を反映してか,断層崖の斜面上の宅地化が著しいことが指摘された.
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