研究課題/領域番号 |
03201140
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
三隅 二不二 奈良大学, 社会学部, 教授 (30037022)
|
研究分担者 |
篠原 弘章 熊本大学, 教育学部, 助教授 (20040066)
小久保 みどり 奈良大学, 社会学部, 助手 (30234735)
ハフシ モハメッド 奈良大学, 社会学部, 講師 (00210104)
米谷 淳 奈良大学, 社会学部, 講師 (70157121)
|
研究期間 (年度) |
1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1991年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
|
キーワード | 自然災害 / 災害文化 / アンケ-ト / 現地調査 / エスノメソドロジカルな方法 |
研究概要 |
本年度は過去の成果を継承しつつ、群発地震が生じた伊東市内部で、人々の間にどのような災害下位文化が形成されているのか、という観点からアンケ-トを実施した3点の調査地点(宇佐美・湯川・新井)を中心に、4回の現地調査(面接と文献収集)と電話聴取調査とを実施し、また以前の調査デ-タを再分析するというエスノメソドロジカルな方法で研究した。その結果次のことがわかった。災害文化とは、くり返し特定の災害に見舞われた地域においては、特定のタイプの文化が、人々のネットワ-クを介して、形成されるというものである。伊東市の場合、関東大震災から教えても伊東地震、北伊豆地震、伊豆大島近海地震など、20回以上の地震がおきており、以上の仮説に合致している。ウェンガ-とウェラ-の表出一道具的災害文化の分類に依拠してまとめると、次のような災害文化が伊東市を中心として潜在していた。便宜的に歴史的な伝承(通時的文化)と、群発地震時(共時的文化)にもみられたものに分けると、災害に対する一般的態度、原因帰属的な説明を記述する伝承である表出的文化における通時的なものとしては『赤牛伝承』『天狗の相撲』『カラタチの家』等の伝承や『潮来町』『船寄り(せ)』等の地名があり、共時的なものには「地震の道」という解釈枠組があり、一方、道具的文化(災害に対する具体的な対応行動の方法、結果予期的な解釈の記述)における通時的なものには「地震時には、竹ヤブに逃げろ」「お寺に逃げろ」「潮がひくと津波がくる」といった東海地方一帯に広く見られる伝承から「小さな津波は、地蔵尊を通り慈眼坊に逃げ、大きな津波の場合はさらに松月院の方向の山の方へ逃げよ」といった伊東独自のものがあり、共時的なものには、普段から、家具の転倒防止器具を設置する、町内、事業所単位で避難・消化訓練を実施する、避難の相談をするという対応行動を「あたりまえ」のこととして実行する等がある。
|