研究概要 |
環太平洋地域には多くの都市があり,そこはまた火山や地震をはじめ自然災害の発生頻度の高い地域である.この地域は環太平洋変動帯と一括して呼ばれているが,ことに地盤災害に関してみると,その地史学的背景と形成過程が複雑である故に,それぞれの地域の地盤特性を把握するためのデ-タベ-スを作ることは難しく,広域地質情報のデ-タベ-ス化はきわめて困難なことと考えられていた.最近,この環太平洋地域,とくにその変動帯はそれぞれ独立した地質単位の地体からなるという考えが出され,それが北米太平洋岸地帯で認められたのを皮切りに,環太平洋全域や環太西洋地域でも認められるにいたっている.そして,一部の地域でその地域地質の特性を柱状の断面図としてまとめて表現することが試みられるようになった.これがいわゆる地体解析である.そのためには先ず各地の地質と地史を把握しなければならない.本研究においては,環太平洋(ことに研究の遅れている南米大陸)の文献を収集すると同時に,地体解析の結果を数・英文字列として表現する手法を検討した.混雑岩層・複変成作用・複数の変成帯の合体などの形成過程については,なお表現方法に問題が残っていて,その手法にはまだ工夫が必要であるが,これらは今後,地体対比に直接役立つばかりでなく,地質特性の把握に地質図と同様に使用される可能性がある.今後もなおデ-タ・文献の収集と平行して表現方法の検討と対比を進める計画である.
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