研究概要 |
平成2年度までに任意の長さにまとめられるハ-フフィルド型水管傾斜計を完成した。これはマイケルソンが始めて用いたものであるが,以後その使用を提唱したのは我々がはじめてである。水管長を100mとすると市販の変位センサ-を用いて(カタログ値で)10^<-9>ラジアンの分解能となる。任意して用いると更に1桁以上あがる。我々の水管は5〜10m長として本年度はそのアレ-を構成して観測研究をする予定であったが,噴火はともかく内陸の中小地震については100m級の分解能をもつ必要があることがわかった。しかし100m級の水管を用いてアレ-を造ることは事実上不可能であるので5〜10m級の水管傾斜計について十分な分解能と安定度をもたせる努力をすることにした。我々はまづ市販の変位トランスデュ-サ-の内適当に安価なもの3種について分解能・温度係数等について調べた。いづれも5〜10m長の水管には不十分であった。結局改良の予地の大きい差動トランスを用いることにした。我々の差動トランスの特長は次の如くである。差動トランスの出力の差(変位による)を先づAC出力の差としてとり出す。水管の両端にある差動トランスを一コの差動トランスの如くとりあつかう。それによりエレクトロニックスの回路は1/2となる。キヤリア-としては数十KHzを用いて高感度化する。ボビンの材料には熱膨張率の小さいものを用いる。検震には差動検震を用いフィ-ドバックの回路を用いる。回路に用いる低抗は最高級品を用いる。キヤリア-の発振器には高調波成分の十分小さいものを用いる。以上の如くすると15V/mmの感度の場合(差動トランス出力2Vrms/mm)10m水管を用いた場合10^<-9>ラジアンの分解能を持ち温度係数は十分に小さくすることが出来る。
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