研究分担者 |
真柄 泰基 国立公衆衛生院, 衛生工学部, 部長 (60083739)
阿部 光雄 東京工業大学, 理学部, 教授 (00016099)
大矢 晴彦 横浜国立大学, 工学部, 教授 (40017950)
大垣 真一郎 東京大学, 工学部, 教授 (20005549)
佐藤 敦久 東北大学, 工学部, 教授 (10005382)
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研究概要 |
本研究は,質的に安全かつ健康な飲料水を確保するため,水道水中の細菌,ウイルス,臭気,硝酸イオン等の有害成分を殺菌あるいは除去するための高度の改善技術を創製しようとするものである。 1.細菌・ウイルス用新殺菌法の開発:本報告は現在までの基礎的実験結果を踏まえ,その結果に則した市販の電気透析装置およびこの目的に合わせて試作した電気透析装置を使用し,河川水を対象に実用化試験を行った結果について述べたものである。多摩川の下流域(A)および中流域(B)から採取した河川試料水について0.48,0.24A/dm^2の条件で試料水の流速を種々変えて透析を行い,透析開始1時間後に採取した処理水の生菌率,pHを測定した結果,試料水Aでは500ml/min,試料水Bでは300ml/minの流速でも無菌水が得られた。この実験における消費電力を計算すると試料水Aでは9.3kwh/t,試料水Bでは4kwh/tであり,各々1tあたり約180円,80円(1kwh=20円で計算)となり,塩素殺菌コスト(1tあたり約150円)と比較すると,汚濁度が高い試料水Aの場合は若干高い結果となったが改善可能であり本法の実用化の可能性は高いと考えられる。 2.脱硝酸イオン処理技術に関する研究:イオン交換樹脂に比べて安価で,かつ毒性の低い元素からなるハイドロタルサイト系陰イオン交換体を用いた硝酸イオンの除去手法を見出すことを目的として検討した。種々濃度のNaClを含む10^<-3>MのNaX(X=Br,I,またはNO_3)溶液10cm^3を交換体0.10gに添加し,イオン交換特性を検討した。logKd対log[Cl^+]プロットは検べたすべての陰イオンにおいて直線関係を示し,選択性は,I<Br^-<NO^-_3の順に増大した。この結果から,本研究で見出した交換体(FM)を用いることにより70ppmの塩化物イオンと62ppmの硝酸イオンを含有する天然水から,90%の硝酸イオンを選択的に分離出来る事が予想された。
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