研究分担者 |
神山 宣彦 労働省産業医学総合研究所, 職業病研究部, 主任研究官 (80133643)
森本 兼曩 大阪大学, 医学部, 教授 (20143414)
辰巳 淳 広島大学, 医学部, 教授 (90037581)
谷村 孝 近畿大学, 医学部, 教授 (30025572)
北条 憲二 香川医科大学, 医学部, 教授 (90046863)
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研究概要 |
本研究の目的は,ダイオキシン類やアスベストのような,人体に対して有害な物質で,環境中への放出が規制されたり,生産が停止されても分解されずに環境中に長期に残留する物質の人体への影響を明らかにすることにある.以下に各分担研究者の研究実績の一部を紹介する. 2,3,7,8四塩化ジベンゾパラジオキシン(以下TCDD)はマウスで口蓋裂を誘発するが,胚子に外脳を誘発しておくと頭蓋が狭小となり,TCDDを投与しても,口蓋裂の誘発が阻止された(安田).大阪府で食品経由のダイオキシン類及びコプラナ-型PCBの摂取を調べると,日本人は魚介類を主要経路として,これらの物質を摂取することが明らかになった(宮田).TCDDを成熟マウスに投与すると,リンパ球のアポ-トシスが認められ,胸腺重量,胸腺リンパ球数が減少し,胸腺皮質面積比が低下したが,新生仔への投与では胸腺発育不全が特徴的であった(北条).アフリカツメガエル胚を2ー16細胞期から5日間TCDDに曝露すると,早期に浮腫を発症した幼生は死亡するものが多く,後から発症したものは浮腫より回復する率が高かった(谷村).難分解性芳香族炭化水素及び芳香族アミンの代謝機構を検索したところ,ラットではNーホルミル化並びにNーアセチル化は,主として動物組織中の酵素によることが分かった(辰巳).ヒト末梢リンパ球染色体の姉妹染色分体交換誘発能を試験管内で検索したところ,タバコタ-ルの方がディ-ゼルタ-ルよりも3倍誘発能が高かった(森本).肺癌検診で高頻度に胸膜病変が発見された熊本県下の町で,アンソフィライトを産出していたことが判明し,胸膜病変をもつ肺癌1例に著しく高いアンソフィライトを検出した(神山).男子石綿肺患者での肺癌の標準化死亡比は,X線像のじん肺所見の悪いものほど高く,また喫煙経験者では非喫煙者に比べて約6.6倍高いことが明らかになった(森永).
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