研究概要 |
(1)先端産業関連の高度エレクトロニクス,バイオテクノロジ-分野などで汎用されるようになった有機金属化合物から,主に水銀,鉛,スズ,ヒ素化合物に着目し,その循環,生成動態と制御に関して,研究代表者らがこれまでに行った調査研究結果を成果報告書にまとめた。 (2)先端産業の中から,本年度はCVDプロセスで用いられる金属水銀に着目し,Hg0.016mg/1,Cd0.06mg/1,Tl0.73mg/1などを含む低濃度有害金属廃棄物に対し,気固系固定層や固液系流動層による吸着技術を応用,効率的制御プロセス開発を実験的に研究した。 (3)ガリウムヒ素系半導体製造におけるエピタキシャル成長のCVDやMOCVDプロセスのモデル実験には,岡山大学環境管理センタ-の有機廃液噴霧燃焼炉の排ガス処理装置を用いた。モデル実験として,噴霧燃焼炉からの燃焼排ガス(水銀濃度0.04mg/Nm^3)の処理を実装置で行った結果,アルカリ液との気液接触では排ガス中の10%程度の水銀しかトラップできないことが明らかになった。また吸着法としては溶解度積の違いを利用した硫化鉛置換反応による方法を検討した。硫化鉛を担持した軽石(平均粒子径12.7mm)を吸着材とする吸着塔(塔径3.8及び90cm)で水銀濃度0.03〜5mg/Nm^3の排ガス処理実験を行った結果,90%以上の処理効率が得られた。本法は気液接触後のような湿ったガスでも目詰まりすることなく圧力損失も極めて小さいため,有効な方法と考えられる。 (4)アルカリ液との気液接触では原子状水銀はほとんどトラップされないが,洗煙排水中には水銀とともにトラップされた多くの粒子状物質が含まれており,通常の固定層の吸着処理では目詰まりを起こし処理が困難である。そこで流動層技術の適用による水銀吸着処理法について,粒状活性炭を用いた実験装置で検討した。その結果,流動層吸着法は懸濁性の低濃度有害金属排水に有効であることが本研究により確認できた。
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