研究課題/領域番号 |
03203209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小宮山 真 東京大学, 工学部, 教授 (50133096)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 人工酵素 / シクロデキストリン / ヒドロキシメチルフェノ-ル / カラム分離 / 多元分子認識 |
研究概要 |
近年、省エネルギ-的でかつ選択性の高い分離法の重要性が高まり、基質・酵素複合体形成、抗原・抗体反応などの生体反応が示す驚異的な高選択性が大いに注目されている。本研究では、環状のオリゴ糖であるシクロデキストリンに様々な化学修飾を加えることにより、より化学的に安定で広範な応用が可能な分離用人工材料(人工酵素)を開発することを目標とした。本年度は、ペニシリン合成の原料である(ヒドロキシメチル)フェノ-ルのパラ体とオルト体の混合物からパラ体のみを選択的に分離する人工酵素の開発を主たる対象とした。本重点領域研究の初年度に、一級水酸基側にヒドロキシプロピル基を導入した修飾βーシクロデキストリンのパラ体選択性は著しいことを見出した。そこで、本年度は、まず、この分離系において生成する複合体の構造をNMRにより決定した。その結果、まさに分子設計通りに、1)シクロデキストリン残基とベンゼン環部分と疎水結合と 2)修飾シクロデキストリンのヒドロキシプロピル基とゲスト化合物のヒドロキシメチル基との間の水素結合 の2種類の相互作用によりパラ体を選択的に結合することが明らかとなった。さらに、この知見に基づいて、エピクロロヒドリンを架橋剤として調製したβーシクロデキストリンポリマ-を、さらにプロピレンオキシドと反応させて2ーヒドロキシプロピル基を導入し、このポリマ-を用いて分離カラムを構築した。この分離カラムは、このような処理をしないものに比べてはるかに分離能が高く、(ヒドロキシメチル)フェノ-ルのパラ体とオルト体とを完全に分離した。これは、樹脂中のβーシクロデキストリン残基に導入されたヒドロキシプロピル基がパラ体とオルト体との結合の強さの差異を高めたものであることが明らかとなった。
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