研究概要 |
1.連続式含浸液膜モジュ-ルの性能に対する原料液循環効果 合浸液膜モジュ-ルによる分離において原料相での物質移動過程が膜透過の律速段階であるとき,原料相の排出液の一部を入口に循環すると原料相流路での流量が増し物質移動が促進されるので回収率が向上することを,合浸液膜モジュ-ル(担体:酸性有機リン系抽出剤)による亜鉛の連続回収実験および理論解析によりに明らかにした。本手法は膜分離操作のみならず,伝熱操作にも適用可能である。 2.膜抽出法による希土類の相互分離のシミュレ-ション 抽出部,洗浄部を備えた膜抽出装置により,原料相に水溶性錯化剤を添加してErとYを分離する場合についてシミュレ-ションを行い,原料相pH,油水流量比,膜抵抗などの条件が所要膜面積に与える影響を検討し,所要膜面積を小さくするには特に膜抵抗の軽減が重要であることを明かにした。 3.硝酸銀溶液による高度不飽和脂肪酸の抽出および支持液膜による分離 EPA,DHA,アラキドン酸,リノレン酸などの各種高度不飽和脂肪酸エステルをそれらのヘブタン溶液から硝酸銀水溶液に抽出する実験を行った。脂肪酸エステルの分配比D(=水相濃度/油相濃度)は二重結合数の増加とともに増加し,EPA,DHAなどの抽出では,各二重結合にAg^+が平均して1個配位して抽出されることが判明した。硝酸銀水溶液へのメタノ-ルの添加は分配比の向上に極めて有効であり,低硝酸銀濃度でもEPA,DHAが効率よく抽出された。また,水溶媒では抽出が困難なアラキドン酸なども抽出可能となり,抽出法による相互分離の可能性が示唆された。さらに,硝酸銀を担体とする含浸液膜および流動液膜によるEAPーエチルエステルの分離実験を行い一段の膜透過により純度が59%から約98%まで向上すること,流動液膜は含浸液膜よりも透過性,膜安定性に優れていることが示された。
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