| 研究概要 |
各種オリゴペプチドの合成は,液相法を採用し,DCC法,活性エステル法,アジド法によるフラグメント縮合法により行った。オリゴペプチド固定化高分子膜表面への細胞付着実験では,エチレンーアクリル酸共重合体(EAA)膜にカルボジイミド法により共有結合させた各種オリゴペプチド固定化膜に,マウス上皮由来繊維芽細胞(Lー929細胞)その他の細胞の付着挙動を調べた。ラミニンモデルのYIGSRは細胞付着率を増大させる効果が殆んどなく,RGD系は顕著な効果が見られた。さらに,RGDよりもRGDX(X=S,V,T)はより顕著な効果が得られた。
各種オリゴペプチドによる基質への細胞付着阻害効果を調べるために所定濃度のオリゴペプチドを種々の細胞の懸濁液に添加し,培養ディッシュの各ウェルに分注後,所定時間インキュベ-タ-中培養した。位相差顕微鏡観察により,この場合もRGD系の細胞付阻害効果が顕著に認められた。細胞付着増殖時における細胞伸展挙動の評価には,位相差顕微鏡により,細胞の付着・進展の様子を観光し,さらにTVIPー2000型画像処理装置に取込み,画像解析用ソフトImage Conmand98を用いて2値画像に変換し,長軸短軸比(OSF)による細胞進展挙動の評価を試みた.この場合にも,RGDXはRGDよりも細胞の伸展抑制効果は大きかった。さらに,培養中の細胞に対するオリゴペプチドの添加効果を調べた。細胞伸展の抑制はペプチド濃度に大きく依存し,RGDよりもRGDXがより顕著な抑制効果を示した。このようにして,第4番目のアミノ酸残基の有用性が示唆された。
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