研究概要 |
イオンチャンネル及び能動輸送機能を有するセンシング膜の開発を人工及びバイオ両面からのアプロ-チにより行った。得られた研究成果の概要は以下の様である。 1. ポリイミド製支持薄膜を用い単分子膜貼り合わせ法により単一のグルタミ酸レセプタ- (GluR) イオンチャンネル 及び10分子以上のGLuRを含むシングル及びマルチチャンネルセンサ-を作製した。両センサ-について,検出下限がそれぞれ〈10^<-8> Mおよび〈10^<-7> Mという高い感度が得られた。さらに,シグナル増幅能として1.9×10^7(per second)という極めて大きな値が得られた。 2. モルモット小腸刷子縁膜から単離,精製したNa^+/〓ーグルコ-ス共輸送体を用いて,〓ーグルコ-ス能動輸送脂質二分子膜センサ-を作製し,10^<-9> Mの検出感度を得た。また,Na^+,K^+ーATPase 包埋脂質二分子膜の膜電位について検討し,この膜はATP 濃度に依存した膜電位を生起することを見出した。 3. 長鎖アルキル型βーシクロデキストリンの圧縮単分子膜を用いて,βーシクロデキストリンの内孔(チャンネルの入口)を通過できる大きさのρーキノンと,通過できない大きさの〔Mo(CN)_8〕^<4->及び〔Co(phen)_3〕^<2+>について,ゲスト(シクロヘキサノ-ル等)の添加によるマ-カ-透過性の変化を,inーtrough cyclic voltammetryにより測定した。その結果,ゲスト分子によるチャンネル入口の直接的ブロックに基づく分子内チャンネルの透過性制御が可能であることが明らかとなった。 4. バリノマイシン包埋単分子膜において,表面圧ー面積(πーA)曲線を測定することにより,ゲストにより誘起されるマ-カ-イオン透過性の変化の機構を明らかにした。
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