研究概要 |
77KでPbI_2/Na‐FAU(1.25)試料の吸収スペクトルを測定すると、PbI_2のモル比の小さな試料で1分子による吸収帯が最も高エネルギ-側の5.5eV付近にみられる。モル比を増加させると、2,3,4,5分子クラスタ-による励起子吸収帯もそれより低エネルギ-側に現われる。このように細孔中のPbI_2クラスタ-のサイズが小さくなると励起子の形成エネルギ-が高エネルギ-側に移動する現象は、電子と正孔の運動の空間閉じ込めによって生じた量子サイズ効果とみなせる。また、単位体積当りの吸収帯の面積はクラスタ-サイズの小さいもの程大きくなることも分かる。このことは1分子当たりの振動子強度が量子サイズ効果によって増大したことを意味している。HgI_2,BiI_3についても同様の結果が得られるが量子サイズ効果はHgI_2,PbI_3,BiI_3の順に小さくなる。このことは励起子半径がこの順に小さくなっていることと対応している。基本波波長1.9μm,パルス副6ns,ピ-クパワ-密度40MW/cm^2の条件で充填率70%でPbI_2クラスタ-を含むゼオライトの第3高調波強度を測定すると、para‐nitroaniline(P‐NA)に比べて14倍となり、4‐domenthylamine‐4'‐nitrostilben(DANS)と同程度であることが分かった。第3高調波強度はコヒ-レント長1_cと3次の非線形感受率χ^<(3)>の積の2乗に比例するので、χ^<(3)>の値を直接求めることはできないが、l_cが同程度とするとχ^<(3)>の値はPーNAの3.7倍となる。この値は有機粉末試料と同程度であるが、今後試料の探索をすれば、非線形材料としての可能性はあろう。一方、Kクラスタ-を含むLTAの交流磁化率を測定したところ、4K以下で、強磁性を示した。これは、奇数個の電子をもつ金属クラスタ-では、久保効果によって磁気モ-メントが発生することが予想されるが、ゼオライト中ではそれが高密度で互いに接しながら並んでいるためと考えられる。
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