研究課題/領域番号 |
03205016
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小宮山 真 東京大学, 工学部, 教授 (50133096)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | コバルト(III)錯体 / アデノシン3',5'ー環状リン酸 / 第2メッセンジャ- / 細胞応答制御 / 人工ホスホエステラ-ゼ |
研究概要 |
アデノシン3'、5'ー環状リン酸(cAMP:第2メッセンジャ-)は、細胞膜に存在するアデニル酸シクラ-ゼによりアデノシン三リン酸が環化されて生成し、細胞内の酵素系の機能を調節して外部情報に対する細胞応答を制御している。ホスホエステラ-ゼによりcAMPが加水分散されると、細胞応答は終結する。本研究では、細胞機能の水工制御を指向して、cAMPを効率的に分散ならびに生成する人工材料の開発を追究した。 各種のコバルト(III)錯体がcAMPの加水分解に対して極めて大きな触媒活性を持つことを見出した。中でも、[Co(trpn)(H_2O)_2]^<3+>錯体(trpn,トリス(アミノプロピル)アミン)の活性は驚異的に大きく、通常ではほとんど加水分解しないcAMPの半減期を、9時間まで短縮することを見出した(加速効果:7億倍)。加水分解反応は、コバルト(III)イオンのシス位に配位した水酸化物イオンが、同じコバルト(III)イオンに配位したcAMPのリン原子を分子内求核攻撃して進行するが、[Co(trpn)(H_2O)_2]^<3+>錯体では、生成する4員環構造が安定化させるために、極めて大きな触媒活性が実現したものと推定される。さらに、一層効率的に細胞応答を制御する触媒の開発を目指して、cAMPの2個のPーO結合(PーO(3')およびPーO(5')結合)の一方を選択的に加水分解するコバルト(III)錯体を探索した。その結果、[Co(N3N)_2(H_2O)_2]^<3+>錯体(N3N:1、3ージアミノプロパン)を触媒として用いると、PーO(3′)結合のみが選択的に開裂してアデノシン5′ーリン酸を100%の選択性で生成することを見出した。この選択性(選択的PーO(3')開裂)は、生体内でホスホエステラ-ゼがcAMPを加水分解する際の特異性と同一であり、コバルト(III)錯体が 人工ホスホエステラ-ゼとして有望であることを明確に示してい。
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