研究課題/領域番号 |
03205034
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
小山 昇 東京農工大学, 工学部, 教授 (40134845)
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研究分担者 |
直井 勝彦 東京農工大学, 工学部, 講師 (70192664)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 生体機能 / 二分子膜 / 電子・イオン移動 / 水晶振動子電極 / ビオロ-ゲン化合物 / ユビキノン / 電極触媒反応 / 薄膜電極 |
研究概要 |
ビオロゲンサイトの幾何学的配向が制御されたポリアルキレンビオロゲン(PAV)とアニオン性化合物(2C_<12>SO_3)から成るポリイオンコンプレックス膜をキャスト法にてQCME上に被覆し、薄膜内での酸化還元反応に伴う物質移動の挙動を評価した。このPAV(n=4)/2C_<12>SO_3膜を0.1M NaClO_4水溶液に浸したところ、大きな質量の増加が観察され、これを溶媒およびNaClO_4挿入の寄与として、それぞれを定量的に評価した。0.1M NaClO_4水溶液中では、ビオロゲンの還元に伴い膜の質量が減少し、酸化に伴い膜の質量が増加していることから、膜の電気的中性を保つために陰イオンであるClO_4^-イオンが支配的に放出移動していることがわかった。一方、0.01M NaClO_4水溶液中では、還元に伴い膜の質量が増加し、陽イオンであるNa^+イオンが挿入されることがわかった。これらの結果は、電子移動反応により誘起されるこの材料系における物質移動が電解質濃度に大きく支配されていることを示している。 また、LangmuirーBlodgett(LB)法、電解重合法、およびキャスト法を用いて、ユビキノン固定化薄膜を作製し、その薄膜内における電荷移動反応速度を定量的に評価し、さらに生体関連物質の酸化還元に対する触媒材料としての評価を行った。アルキルアンモニウム塩、ポリビニル硫酸、ユビキノンから成るLB膜は、親水処理したITO電極基盤上に累積被覆され、その累積パタ-ンはZ型であった。この累積膜は、塩基性条件下で可逆性の良い酸化還元応答を与え、薄膜内における電荷移動は、膜内に固定化されたユビキノンサイト間の自己電子交換反応により進行し、その電荷移動の見かけの拡散係数(D_<app>)は8.7x10^<-12>cm^2S^<-1>と求めることができた。またこの薄膜は、酸化還元反応に対して触媒作用を示した。さらに、金とチオ-ル基との特異的な相互作用を利用してアルキルチオ-ル(CH_3-(CH_2)_n-SH)の単分子層から成る疎水的反応場を金電極表面に構築し(selfーassembly法)、その反応場に疎水性相互作用によりユビキノンを固定化することができた。この薄膜は酸化還元応答を示し、算出されたユビキノンの表面濃度が10^<-10>molcm^<-2>オ-ダ-であったことから、単分子層レベルでユビキノンが固定化されていることがわかった。
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