研究課題/領域番号 |
03205085
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
蒲池 幹治 大阪大学, 理学部, 教授 (40028163)
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研究分担者 |
原田 明 大阪大学, 理学部, 助手 (80127282)
古江 正興 大阪大学, 理学部, 講師 (30028245)
森島 洋太郎 大阪大学, 理学部, 助教授 (70028249)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 高分子 / 多スピン系集合体 / 有機ラジカル / メタクリル酸エステル / アクリル酸エステル / ニトロキシルラジカル / 一次元強磁性体 / 定圧モル熱容量 |
研究概要 |
今年度は、主に、常磁性種の集合を利用した新たな電子・磁性材料を目指して、ポリマ-合成および多スピン系の特徴を引き出すための基礎研究を進めた。これまで、常磁性金属錯体や有機ラジカルを側鎖に有する高分子の磁性に関する研究の延長として、ニトロキシルを側鎖にもつポリアクリル酸まで合成し磁性を検討した。得られたポリマ-の磁性は弱い反強磁性であり、注目すべき結果は得られなかった。しかし、有機ラジカルの磁性に関する基礎研究の立場から、ポリマ-の前駆体となるモノマ-の磁性についても種々検討したところ、ニトロキシルラジカルを側鎖をもつメタクリル酸エステル(I)ではWeiss温辰θ=0.2Kの弱い強磁性相互作用の存在を示したが、アクリル酸エステル(II)ではθ=-1.2Kの反強磁性的相互作用を示した。両者は同じ種類のラジカルであり、その差異は、α位にメチル基がついているかいないかだけの違いであり、X線構造解析やモル熱容量の測定で、磁性発現の本質を解明しておくことは、有機磁性体の達成に有意義と判断し、(I)と(II)の詳細な研究を行った。磁気モ-メントの温度変化を調べると、(II)では温度の低下とともに増加し、明らかに強磁性的になっている。(I)の定圧モル熱容量を1K以下で測定したところ、0.14Kに転移が見られ、スピンの磁気的配列が起こっていることが明らかになった。更に、温度領域を広げて測定したところ、0.14Kの鋭いピ-クの他に、0.45Kを極大とする幅広いピ-クも観測された。この熱容量の変化は一次元強磁性体に特徴的な磁気秩序によるものであり、一次元鎖内の交換相互作用をJ/kB=0.45Kと見積もることができた。以上のように、磁性高分子の合成面では成功しなかったが、モノマ-の基礎的研究で、強磁性発現に関する有意義な知見を得た。 電子材料としては、ポルフィリン亜鉛錯体を含む高分子を合成し、その特性を検討した。
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