研究概要 |
MOCVDで製作したZnSe/ZnSSe超格子において,超格子によるX線回折ピ-クを観測するとともに,断面透過電子顕微鏡(TEM)観察でも一原子層程度の急峻なヘテロ界面が形成されていることを確認した.光学測定においても,理論計算と一致した量子閉じ込め効果によるフォトルミネッセンス(PL)のブル-シフトが観測された.またこうした超格子構造では,通常のエキシトン発光に加えて,二つの電子正孔対が互いに束縛されたバイエキシトン発光も,非常に弱い励起レベルから観測されている. P型伝導に関しては,N添加用原料であるアンモニアガスを熱分解し,より活性なラジカル化によりN取り込み過程を改善する可能性を試みた.その結果,熱分解温度の上昇とともにPLにおけるアクセプタ-エキシトンピ-クの増大が観測され,その有効性が確認された. ZnSe/ZnSSe系ヘテロ構造において,波長450nmのパルス発振ダイレ-ザによりZnSe活性層を直接励起し,室温でレ-ザ発振しきい値10.5kW/cm^2と低い値を観測した.発振波長は室温で470nmの青色領域である.また測定を行なった400Kの高温まで,微分量子効率の顕著な低下はみられず安定な動作が確認された.窒素レ-ザ励起により測定された微分量子効率は20%以上と見積られ,高温まで高い量子効率が期待できる.また最大で24Wの高い光出力が得られており,少なくともパルス動作においては,高出力時にも安定なレ-ザ動作が確認できている. またIIーVI系半導体で,どの程度のレ-ザ特性が期待できるかを理論的に検討し,さらにpinヘテロ構造におけるリ-ク電流の理論的見積りを行った.
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