ぶたすい臓リパ-ゼ、ヒスチヂンデカルボキシラ-ゼ(IDC)および起源のことなる2種のフルクトフラノシダ-ゼの固定化を行い、良好な結果をえた。最後の2例は機能性甘味料の製造にかかわるものであり、1か月をこえる試験の後にも当初と全く変わらない酵素活性を示した。リパ-ゼについては有機溶媒中で脂肪酸のエステルを合成するのに有効であることが明らかとなった。HDCについては芳香環をジアゾ化する方法により活性のある固定化酵素を得た。セルラ-ゼ固定化も可能で可溶性のCMCやセロビオ-スを分解する活性ばかりでなくグルコ-スからセロオリゴ糖を合成する反応も確認出来た。各種のアミノアルキル基を結合させたアミノ化多孔質ガラスをBO1班の用に供しワクチンの中から細菌のエンドトキシンリポ多糖を取り除く実験に試用していただいた。 これらの研究とは別に、土壌より採取したバシルス属菌のカルボキシメチルセルロ-ス(CMC)分解酵素の遺伝子をクロ-ン化しこれによって形質転換した大腸菌が生産する酵素と野生株の生産する酵素を粗精製し、更に市販のセルラ-ゼ酵素とも比較しながら、各種の基質に対する特性や固定化の有効性を調査した。 我々が主として使用している多孔質ガラスは骨格にアルミニウムを含むものであるが、固定化酵素の担体として市販の多孔体と同等またはそれ以上の性能をもっている。アフィニティ-クロマトグラフィ-用担体としては、通常用いられる高分子系の球状担体に較べ、1g当たりのアミノ基量が少ないが、固体表面の有効な官能基の密度としては有効なものが多い。現在BO1班と共同で進めている研究がこのことについての指針となろう。クロ-ン化したものと野生株のCMCア-ゼを用い、グルコ-スからオリゴ糖を得ることが出来たので、これについても、固定化酵素を用いたバイオリアクタ-へと研究を進めたい。
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