研究課題/領域番号 |
03205112
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小林 速男 東邦大学, 理学部, 教授 (60057635)
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研究分担者 |
内藤 俊雄 東邦大学, 理学部, 助手 (20227713)
森山 廣思 東邦大学, 理学部, 助教授 (10126188)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | DCNQI / 混合原子価 / 分子性金属 / 重い電子系 / Pπーd相互作用 |
研究概要 |
分子性伝導体の開発研究は近年目覚ましい進歩を遂げているが、従来開発された分子性伝導体は全て基本的にはπ性のフロンティヤ-軌道が金属バンドを形成するもののみであった。本研究の目的は配位子が金属バンドを形成する事が可能な遷移金属錯体分子の伝導体を開発し、更にd電子を伝導帯形成に参加させると言う有機分子では実現不可能な系を開発することである。この目的のためには中心金属が混合原子価性であることが望ましい。過去数年間、この様な系のモデルとなり得るDCNQIーCu化合物に注目し、検討している。我々はDCNQIーCu系のpπーd mixingに基づいてDCNQIーCu系の特異な物性を解釈し、「分子性金属における重い電子系の可能性」を提案した。本年度は(1)(DMeーDCNQI)_2Cuの銅原子の混合原子価性を確認し、(2)混晶系、(DMe_<1ーx>MeBr_xーDCNQI)_2の低温電気抵抗の温度依存性を解析し、DCNQIーCu化合物を「重い電子系」の一員とする有力な傍証を得た。(1)に関してはこれ迄、ドイツのグル-プにより反対が唱えられていた事もあって、決着が望まれていた。昨年度報告したIRとXPSの結果は確定的と思われたのであるが、未だに完壁ではないようである。今年度は(DMe_<0.9>DBr_<0.1>ーDCNQI)_2Cuの電気抵抗の温度依存性を調べ、系は(DMeーDCQI)_2Cuに100bar程度の僅かな圧力がかかった場合とほぼ同一の振舞をすることを見出した。X線回折像を20Kで吟味すると明瞭にCuの混合原子価(Cu^<+1.3>)を反映する三倍周期構造が観測された。この結果によってDCNQIーCu系の特異性がCuの混合原子価に依存するものか否かと言う問題にはほぼ決着がついたと考えられよう。 本年度はこの他に新しい遷移金属錯体超伝導体、βー[(CH_3)_4N][Pd(dmit)_2]_2を見出した。πーアクセプタ-のみが電気伝導を担う系としては我々が以前報告した系に続く二番目の例である。またC_<60>分子のアニオンラジカル塩の結晶を成長させた。現在構造解析が進行中である。
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