研究課題/領域番号 |
03205118
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
丸山 有成 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (40013479)
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研究分担者 |
稲辺 保 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20168412)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 超薄膜 / フタロシアニン / C_<60> / 非線形光学 / 超伝導 |
研究概要 |
1.有機物超薄膜の構造と物性 本年度は鉛フタロシアニンとC_<60>を対象としてその薄膜の構造と物性を調べた。前者は多層膜作製のベ-スとするため、まずその単一超薄膜の構造資価を行った。その結果、これまでに知られているフタロシアニンの場合とは異なったエピタキシャル成長をすることが明らかになり、かつそれが顕著な膜厚依存性をもつことも示された。さらに膜の構造と光吸収スペクトルとの間に相関があることも見出された。今後さらに検討を続ける予定である。一方C_<60>超薄膜は、グラファイト表面に蒸着されたものは、グラファイトの炭素原子の配列と一定の関係を満たす方向にむしろ一次元的に配列する傾向が強い。又、MoS_2上ではS原子の配列に対してエピタキシャル的な2次元配列が多く現れることが明らかとなった。又、C_<60>薄膜について、初めてSHG及びTHGを観測し、後者の値として有機物としては比較的大きな値(2×10^<-10>esu)を得た。 2.C_<60>固体の導電性 C_<60>の単結晶及び薄膜へのアルカリ金属(K,Rb)のド-ピングを行い、電気抵抗変化のその場観察によって条件の最適化を達成した。その結果、単結晶の場合には金属的な抵抗の温度変化が見出され、K_3C_<60>でTc=19K、Rb_3C_<60>でTc=28Kの鋭い超伝導転移が観測された。一方薄膜では抵抗率も大きく温度変化も半導体的であった。また、超伝導転移の温度幅もかなり広く零抵抗温度も単結晶の場合よりも大分低い。これらは粒界の存在による不均一ド-プ又は粒界抵抗によるものと考えられる。 単結晶試料に対して熱起電力(熱電能)の温度依存性も測定した。その結果、起電力の符号は室温からTcまで負で金属的(線形変化)な変化を示すことが見出された。この事から、キャリヤ-は電子でそのフェルミエネルギ-は約0.4eV、キャリヤ-数は約1×10^<22>cm^<-3>と求められる。
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